新婚妻に浮気サレて2年で離婚、再婚したら今度は… 40歳夫が味わった“不倫の連鎖”体験

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「ああ、ついに壊れたんだな」

 今年の春のことだった。友紀さんのところに週末2泊して家に帰ったら妻子がいなかった。いないだけではなく、家の中の様子が妙だった。娘がいつも持っているぬいぐるみがなかったし、クローゼットの妻の洋服がごっそりなくなっていた。

「ああ、ついに壊れたんだなと思いました。いつかこんな日がくると思っていた。お帰り、おつかれさまという真依子の声が聞こえてこないのが、うれしいような悲しいような……。あんなにうっとうしくて嫌だった妻なのに、いないとわかるとなんとなく腹立たしかった。僕のことをずっと好きだった、ずっと尽くすと言ったはずなのにって。いや、身勝手なのはわかっていますが、当時はそう思っちゃったんですよ」

 とはいえ真依子さんには実家がない。どこに行ったんだろう、娘が危険にさらされてはいないのだろうかと、さすがの信史さんも父親らしい心配はした。

 真依子さんの携帯を鳴らすが一向に出ない。彼女の部署に聞いてみると、長期休暇をとっているという。知らなかったの、と言われてしまった。そして1週間たっても、行方はわからなかった。

「警察に届けるべきだろうかと思いながら、行動に移せなかったんですが、だんだん何か事件に巻き込まれたのではないかと思い始めて……。10日たったとき、母から連絡がありました。いつものように『元気なの?』とのんびりした声だった。うん、まあと答えると、本当に元気なのとしつこいんですよ。元気だよと言うと、『そうなの。見そこなったわ』って。ハッと気づきました。真依子と娘は、僕の実家にいるんだ、と。そういうことなんだねと母に確認すると、『あんたは心配ひとつしなかったの』と母の落胆した声が聞こえてきた。80代になった両親に迷惑をかけたことを謝罪しましたが、母は『そんなことを謝ってほしいわけじゃない』と激怒して、電話をたたき切られました」

母に諭されて

 妻と母は確かに仲良く見えた。それは妻が我慢しながらの関係だったと彼は感じていた。だが母も父も、常に真依子さんの味方だったのだ。妻が言葉巧みに両親を味方につけたのかと思ったが、真依子さんはそんなずる賢いタイプではない。そんなタイプなら、両親は味方しないはずだ。

「完敗だと思いました。元気でいるならそれでいい。そうも思った。一般的には迎えに行って、また一緒に暮らすものなんでしょう。でもどうしても僕にはそれができない。真依子が嫌いなわけではないんですが、彼女の愛が重いのは事実。元気で少し距離がある関係のほうがいい。そう思っちゃったんですよ」

 それでも実家に行ってみた。妻は真っ白な顔をして痩せていた。さすがの信史さんもショックを受けたという。

「あんたも昔、傷ついたでしょう。忘れたの、と母に言われました。僕を失意の底から救ってくれたのが真依子だった。忘れたわけじゃないけど、真依子の愛は、僕が快適でいられるものではないんだと言いました。だからといって妻をむやみに傷つけていいとは思えないけどねと、母は冷たい口調になっていた。うちに来たときは、言葉も出ないほどつらそうだった、熱を出して3日も寝込んだんだよって」

 そんなふうに妻を追い込むつもりはなかった。だが、最初の妻の葉子さんに激しく傷つけられた自分の気持ちを思い出すと、真依子さんに申し訳ないことをしたと心から思ったという。

「妻に手をついて謝りました。ただ、僕は真依子を傷つけたことで、再度、自分が傷ついてしまった。どうしようもない自分を持て余しました。友紀にすがろうとしたけど、これ以上、妻を傷つけてはいけないとさすがに自重した。いつも誰かにすがって逃げて、結局、自分をきちんと見つめてこなかったと初めて気づいたんです」

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