新婚妻に浮気サレて2年で離婚、再婚したら今度は… 40歳夫が味わった“不倫の連鎖”体験
だんだんと妻がうっとおしく…
37歳のとき、娘が産まれた。真依子さんは育休を半年とっただけで仕事に復帰し、家事も育児も手を抜かなかった。どれほど大変だったか信史さんは想像もしていなかったという。
「真依子は20代で両親を亡くしていたので、僕の母が手伝いに来てくれていました。母と真依子の関係は良好だったと思う。でもおそらく真依子がいろいろ我慢していたんでしょう。彼女は常に、僕のためなら何でもすると言っていたし、実際、文句ひとつ言わずにすべてやってくれていました」
信史さんは真依子さんの気持ちを想像することができなかった。それどころか、何でも先回りして完璧にやってくれ、さらに夫を気遣ってくれる妻が、だんだん重くなってきたのだという。
「寒いにつけ暑いにつけ、妻は僕の体を気遣う。朝起きると、僕の体調がいいか悪いかを見定めようとする妻の視線がうっとうしかった。心配してくれるのもいいけど、度が過ぎると『オレはこどもじゃないんだから、放っておいてくれないかな』と言いたくもなる。妻は悲しそうな目をするんです。捨てられるんじゃないかと怯えている子犬みたいな目だった」
かまわないでほしい、放っておいてほしい。1日に何度もその言葉を連呼した。そのうち、彼の帰宅が遅くなった。それでも妻は何も言わず、起きて待っていた。帰宅すると、眠そうな顔もせず、「おつかれさま。なんか軽く食べる?」と笑顔を向ける。耐えられない。彼はそう思った。
「反抗というのと違うんです。僕は僕で、自分の人生や心に侵蝕してくるような妻の接し方がたまらなく嫌だった。でもそれは真依子にはわかってもらえない。わかるくらいなら、そういう接し方はしないでしょうからね。それが彼女の愛情だというなら、あまりに重くて僕には持ちこたえられないと思った」
そして一回り年下の女性と…
外にいる時間が長くなった。もともと酒に強いわけではないが、飲み屋に寄ったり、そこで知り合った年上の男性に誘われて、将棋を始めたり。将棋はこどものころ、よく祖父と指していた。懐かしさも手伝って、将棋道場に通うようになった。
「今はけっこう女性も来るんですよ。ときどき顔を合わせるようになった若い女性がいて、徐々に親しくなっていきました。道場帰りに『一杯どうですか』と誘い、友紀という彼女が僕より一回り下だと初めて知りました。彼女、かなりのツンデレなんです。道場ではひたすら勝負にこだわり、ときには将棋について議論をふっかけてきたりする。でもふたりきりだと甘えるようなそぶりを見せる。そんな彼女に僕は惹かれてしまったんです」
彼は、妻にバレたらどうしようとは考えなかったという。悪いと思いながらコソコソ浮気をするつもりはなかった。もちろん、自ら妻に言うつもりはなかったが、ふだんと同じように暮らしていた。
「たまにひとり暮らしの友紀のところに泊まるようになっても、真依子は何もいわなかった。ただ、ときどきじっと僕の顔を見るんです。何か言いたいことがあるなら言えばいいのに、何も言わずにけなげに元気にふるまう。それもなんだか嫌でした」
結婚生活はすでに破綻している。お互いにそれをわかっているのに、妻は何も言わない。信史さん自身は逃げの一手を打ちながら、家事も育児も妻任せ。振り返れば傲慢だったと彼は語る。
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