「あっちに魅力がないんだからさ(笑)」不倫した妻の捨て台詞に傷つき“入院”。40歳夫が振り返る、2年半で終わった結婚生活

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(前後編の前編)

 意識してかしていないかは別として、人は自分がされたことを、人にもしてしまうことがあるのではないだろうか。親子間の虐待の連鎖が典型的な例だが、かつて職場のモラハラで苦しんだ人が、他の人に完璧なモラハラをしているのを実際に見たことがある。自分がされて、あれほど苦しんだはずなのに、人の心を傷つけて平然としているその人に愕然とした。

 なぜ自分がされたことを思い出さないのかは不思議である。

「そう言われると面目ないと言うしかないですね。心のどこかで、女性が不倫するのは許せないけど、男がするのはもっと軽いと思っていたのかもしれません」

 尾崎信史さん(40歳・仮名=以下同)は、比較的、淡々とした調子でそう言った。反省していると言いながら、今ひとつ気持ちが伝わってこない。なんだかぬるりと逃げられている感じがする。

結婚して1年足らずで…

 信史さんは27歳のときに3歳年上の同僚である葉子さんと結婚した。仕事ができてきれいで、さっぱりした性格。10回以上、プロポーズして、ようやく了解をとりつけた経緯がある。

「周りからも、よく彼女がOKしたなあと言われました。彼女は仕事で目立つ存在だったから。でもふたりきりでいるときは、かわいいところもある魅力的な人でしたよ。あのときが人生で最高潮だったのかもしれない……」

 結婚して1年足らず、まだ新婚というときに葉子さんが不倫していることが発覚した。相手は仕事で取り引きのある会社の役員だった。

「50代のおっさんだったんですよ。彼女より25歳くらい年上だった。確かにかっこいい人だったけど、それでも父親みたいな年齢でしょう。しかも彼女、僕が浮気を疑ったときにあっさり白状したんです。『ごめん。だって惹かれちゃったんだもの』と。惹かれたら誰とでも寝るのかと言ったら、『あなたが何を怒っているのかわからない』って。きみに裏切られて傷ついていると言っても、『でも私は夫としてあなたを愛してる』とはっきり言うわけです。どう考えたらいいのかわからなくなりました」

次ページ:「愛してる」と言いつつ不倫相手のもとへ…

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