「オウム真理教のVHSビデオ」を購入しようとしたジャーナリストを襲う“謎の展開”…「奇妙な女」が自宅を訪れ、「黒ずくめの男」の姿まで

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銀行に被害を報告

 だが、肝心の捜査については、

「こういうのは、もうやりようがないんですよ。捜査しても、またやられて、を繰り返すばかりでイタチごっこと言いますか、『これからはこういう怪しいサイトで買い物しないでくださいね』とご指導するしかないんですよ。被害届については、銀行も被害届を出さないと捜査になりません。詐欺の犯人に銀行も被害を受けていますから。でも、銀行が被害届を出してくることはほぼないですから」

 と、全くもって手詰まりの様子だった。そして、私が今回の振り込みに使用した某大手銀行の相談窓口を案内された。「一応、この手の話は銀行の専用相談窓口でやってくれますから。うち(警察)に相談したって言ってもらうと話がスムーズですから」と……。

 さっそく専用相談窓口に連絡すると、「振込明細用紙など、振り込みを証明できるものが手元に残っていれば手続きができます」という条件付きの相談対応だった。

 振込明細用紙などがあれば、被害者リストに登録される。その後、銀行の判断で、今回の詐欺事件で使用されたグェン・カック・カインの口座を凍結する。それから半年後に、この口座に残金があれば、被害回復給付金支給制度によって被害者リストに登録されている人たちの頭数で割った金額だけが戻ってくるとのことだった。

振込手数料の疑問

 担当者の話によると、経験上では凍結した銀行口座に残金があることはほとんどなく、もし残っていても数百円程度が関の山とのことだった。

 銀行の言い分は理解できる。だが実際の被害金額は別として、私が振り込みの際に支払った振込手数料は即時返金しなければ、銀行も詐欺グループと利益供与関係になってしまうのではないかという大きな疑問が残った。

 ネット詐欺やフィッシング詐欺の被害報告件数はどれくらいなのか。警察庁によると、フィッシング詐欺だけでも2023年で119万件。その振り込みの際に発生した振込手数料の総額も相当な金額になっているはずだ。

 私の一件だけで述べるのは実例が足りないかもしれないが、振り込みの際に支払った手数料が銀行から返金されるという説明は一切なく、いまだに返金されたこともない。もし全国の銀行が同じ対応に終始しているのであれば、銀行はネット詐欺やフィッシング詐欺の被害者の振込手数料のおかげで莫大な利益を得ていることになるだろう。

 とりあえず警察と某銀行による公的な対応とその手続きはこれだけであり、銀行に支払った振込手数料と商品代金の5525円を失ったようなものだった。また、振り込み後に自宅にやって来て5000円の寄付を要求してきた謎の女性については、現段階で警察は不介入とのことだった。

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