「オウム真理教のVHSビデオ」を購入しようとしたジャーナリストを襲う“謎の展開”…「奇妙な女」が自宅を訪れ、「黒ずくめの男」の姿まで

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自宅を訪問してきた謎の女性

 りそな銀行 八王子支店 2389959 グェン カック カイン

 この銀行口座名義人の氏名は、カナダでシステムエンジニアとして成功を収めたことで知られるベトナム人のグエン・クオック・カインにどことなく似ていた。またホーチミン市人文社会学大学のグェン・カック・カイン博士とは同姓同名だ。

 口座名義の名前だけでもネット詐欺の悪臭を強烈に放っていたが、30年前のオウム真理教の内部教育VHSビデオという商品の希少性から、もしも本当に購入できるのならありがたい。この怪しい銀行口座に商品代金を振り込むと「商品発送までしばらくお待ち下さい」という大手通販サイトで見慣れたメールが届いた。

 だが、それから1週間経ってもビデオが配送されて来ることはなかった。山本圭吾に問い合わせメールを送っても返事はなく、株式会社み前利のショップサイトは「悪質なサイトを遮断しました!」というメッセージ画面になるだけで、もう既に閉鎖されていた。

 ある程度は予想できていたとはいえ、ネット詐欺にやられたと途方に暮れた。すると、ビデオが送られてくる代わりにサプライズがあった。

 自宅に見知らぬ女性が訪ねて来たのだ。女性はキリスト教のプロテスタント系団体の信者だと説明し、「5000円を寄付して欲しい」と要求してきた。勿論、私はこの女性の要求を断った。今時、いきなり見知らぬ人の自宅のピンポンを押して「5000円くれ」なんて活動をしている宗教団体があるはずないだろう。

警察も詐欺事件と断言

 ネット詐欺や宗教問題に詳しい某探偵によると、

「そもそもオウム真理教のビデオを欲しがるような人は、たとえ詐欺にあっても警察に駆け込むようなことはしません。もし警察に行けば、刑事相手に事情を説明している最中に何度も『オウム真理教のビデオを買いたかったから』と言うしかない。ハッキリ言ってそんなの気まずいでしょう。自宅に来て5000円を要求した女性が何者かは分からないけど、よくあるパターンだと、悪質な新興宗教団体が信者獲得の勧誘作戦としてネットサイトで宗教系グッズを販売し、購入メールを送って来た買い手の個人情報を見て勧誘に訪れるパターンがあります」

「もうひとつはトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)のやり方で、今回みたいに警察に相談しにくい商品をショップサイトで販売します。バイブレーターとかSMグッズなどの商品で釣り、購入手続きの際に入手した氏名・住所・連絡先をもとに自宅までやって来て金品を要求するパターンがありますね。まだあまり事件化してないみたいですけど」

 とのことで、この某探偵の案内で警察に相談する運びとなった。

 警察の方では「あぁ、これはもうほぼ間違いないですよ」とネット詐欺、フィッシング詐欺の疑いがあると説明された。

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