「夏の甲子園」で名勝負!プロで活躍する選手同士が演じた“忘れがたき因縁対決”

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交流戦で再対決というアツい展開に

 両者は今年6月8日の交流戦で同じ甲子園を舞台に再対決。今度は中野が高橋から一塁線に先制タイムリー二塁打を放ち、11年前のリベンジをはたした。

 前出の高橋とともに西武のエースを務める今井達也も、作新学院時代の2016年夏、準々決勝で楽天のエース・早川隆久(木更津総合)と記憶に残る投手戦を演じている。

 栃木県大会4試合で33三振を奪った今井は、甲子園でも2試合で23奪三振と本領発揮。球速も初戦の尽誠学園戦で151キロ、3回戦の花咲徳栄戦で152キロと、投げるたびに自己最速を塗り替えた。

 一方、抜群の制球力を誇る左腕・早川も2試合連続完封。三塁を踏ませないどころか、二塁を踏ませたのも2試合で1回だけという安定ぶりだった。

 だが、この日の早川は、立ち上がりに制球が乱れる。1回、入江大生(現・DeNA)に真ん中高め直球をバックスクリーン左に運ばれ、3回にも山ノ井隆雅に右越え2ランを被弾。いずれも2死からの失点で悔やまれたが、4回以降は4安打無失点と立ち直り、味方の反撃を待った。

 6回まで木更津打線を3安打無失点に抑えた今井も7回、タイムリーで1点を失うが、なおも2死一、二塁のピンチで、二塁走者を咄嗟の機転でノーサインのけん制タッチアウト。

 8回1死一塁でもフェンス直撃の二塁打を許すが、好返球で本塁タッチアウトと、今度はバックに助けられた。結果的にこの2つのプレーが大きくモノを言う。

 そして、9回2死、「最後は気持ちで投げた」とギアーを上げた今井は、早川を151キロ直球で空振り三振に打ち取り、ゲームセット。“事実上の決勝戦”を制した作新学院は準決勝、決勝ともに大勝し、今井は優勝投手になった。

 今年3月29日の開幕戦で、両者のプロ初対決が実現し、7回無失点の今井が勝ち投手に。4月19日の再対決も今井に軍配が上がっている。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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