ペットの殺処分がなくならない“本当の理由”は 「飼ってはいけない人たちに無理やり売りつける仕組みが」
繰り返されるセールストーク
店員がわれわれの調査に気付いている節はなく、セールストークが繰り返される。
「今日連れて帰れます」
「迎えたほうがいいです」
「逆に何が(買わない)理由ですか? 理由がないと思うんですけど」
ペット不可の物件に住んでいる旨を告げても、
「出会っちゃったら絶対お迎えしたほうが絶対後悔ないです。今のおうちがダメだったら、どうやったらこの子お迎えできますかっていうのを一緒に考えましょうというのがペッツファーストなので」
「最終的にワンちゃんって勢いなんですよ。一期一会なんで、見た目も性格も全部気に入ってるんだったらこの子なんでしょう」
「気に入ってるんだったら早く決めたほうがいいです。生き物だから。全部同じ子はいないので、先に買われちゃって、ああやっぱりあの子お迎えしとけばよかったってなることを考えると早くお迎えしちゃったほうがいいですよね。まずローンの審査だけしてみて、通ってから考えるという手もありますよ」
「車とかはよく考えて決めたほうがいいと思うんですよ、逃げないから。でもこの子は(他に)いないから」
「飼ってはいけない人たちに無理やり売りつける仕組み」
価格は80万円台。保証など諸々セットで付けると、総額約120万円。ローンは最長の7年で84回払いだという。ちなみに、ペッツファーストは他社と比較して1個体あたりの価格が高く、「高級志向」が売りのペットショップとして知られる。
奇しくも調査の対象となったポメラニアンはケージの中に戻され、短い脚で拙(つたな)く歩き、キャウンと細く鳴いたりエサを食べたりしている。その愛らしい姿を見つめているうちに、「出会っちゃったら絶対お迎えしたほうが」いいという店員の言葉がセールストークには思えなくなってくるから不思議である。
しかし、こうしたやり取りにペット業界の闇が凝縮されている。8週齢以下の可能性がある子犬、あまりに愛らしいその姿、運命の出会いを強調する店員……こうした要素が犬猫の殺処分と密接に結び付いていることをご存じだろうか。
「なぜ日本で殺処分がなくならないかというと、飼ってはいけない人たちに無理やり売りつける仕組みがあるからなのです」
と、さるペット愛護関係者は話す。
「その結果、ミスマッチが起こり、後々“こんなはずじゃなかった”となる。それで飼い主がペットを捨てる。捨てられた犬などは人間不信に陥っており、暴れたり吠えたりして、愛護センターに連れて来られても人間の言うことを聞かないので譲渡対象にならず、最後には殺処分となる。殺処分になるまでの過程をさかのぼっていくと、結局、最初の飼い主とのミスマッチが大きな問題なのです」
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