「ベジタブルな野菜ですね」……インスタで大人気「小泉進次郎」がネタ動画にされる「テレネット政治」の落とし穴 自民党議員からは「総理待望論」も

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「テレネット政治」時代の政治家

「テレポリティクス」と言われる、テレビ映りが政治の趨勢を決めるといわれた時代は、若きイケメン、ケネディ米国大統領の誕生につながったといわれる1960年のテレビ討論会にさかのぼる。以後、世界中でテレビ映りの良し悪しが政治家の人気を左右すると言われてきた。日本でも進次郎の父、小泉純一郎元総理もまさにこの範疇に入る政治家だった。しかし現在はテレビのみならず、ネットの時代でもある。

 上記の進次郎動画のように、テレビ報道等に映し出された言動から受けるイメージが、ネットで拡散されていき政治に影響を与えていく現象を筆者は「テレネット政治」と定義する。

「テレネット政治」ではルックスだけでなく、キャラクターも重要だ。かつての「テレポリティクス」時代には、15秒から20秒のワンフレーズを駆使する見栄えのよい政治家が人気となったが、現代のネットではこれに留まらず、その言動から受け取られるキャラクターに焦点が集まり、評価、あるいは揶揄や批判の対象となっていくのである。

「進次郎内閣を作ることが、衆院選で自民党が勝利するための唯一の方法」

 筆者が政治取材をしていると都市部の自民党議員は戦々恐々としている。ある都内の選挙区選出の議員は「このままでは自民党議員は小選挙区では全滅かもしれない」と真顔で話した。別の関東選出の議員は「次の総裁選で進次郎内閣を作ることが、衆院選で自民党が勝利するための唯一の方法。決死の覚悟で実現させたい」と話す。当落が“風”に大きく左右される首都圏の自民党議員にとって岸田続投は容認できない選択肢だ。進次郎の抜群の知名度で何としても自らの議席を確保したいという想いがひしひしと伝わってくる。

 しかし、上記のように、ネット上での進次郎の人気は諸刃の剣だ。仮に進次郎総理が誕生したとしても、今以上に発言の軽さ、中身の薄さを指摘され、ネット上で次々とパロディのネタにされ、笑いの対象となってしまうかもしれない。

「テレネット政治」の今、外見や表面的な言葉で国民を誤魔化すことは難しい。そのことを頭に入れた上で自民党は次の総理を選択していってほしいと思う。

多角一丸(たかく・いちまる)
元テレビ局プロデューサー、ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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