世界最悪のキリスト画修復、お婆さんが地元の「救世主」になっていた! 「観光地になり、街はフィーバーに」【あの人は今】

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「壁画をそのまま守れ」という署名も

 修復された〈この人を、見よ〉の経済効果はその後も続いているといい、ボルハの町にはこれまでで100以上の国や地域から、30万人を優に超える観光客が訪れている。

「2年前の9月にはボルハ町長の発案で『修復から10周年』を記念した式典が2日間にわたって行われました。91歳となっていたセシリア氏もこの式典に主賓として招かれ、車椅子で参加したといいます」

 町民たちの“手の平返し”にはあきれるばかりだが、笑えるのは10周年を機に行われた専門家による絵画の調査。12年の騒動時には「復元は不可能」とされていたものが、今度は一転、「復元は可能」と真逆の結論が出たのである。

 ところが、

「そもそも元の〈この人を、見よ〉は、1930年ごろに地元近くの芸術大学教授が描いたもので、取り立てて秀作というわけでもなく、騒動の前にはその存在に目を止める人はおりませんでした。そんな壁画に復元されてしまえば、当然、観光客の足はボルハから遠のいてしまう。そこで『セシリア婆さんの修復壁画をそのまま守れ』という住民の請願運動が行われ、1万筆以上の署名が集まったそうです」

 現在93歳となったセシリアは少し認知症の症状が見られるものの健在。息子とともに町立の高齢者施設で、騒動以前と変わらぬ慎ましい生活を送っているという。

週刊新潮 2024年8月15・22日号掲載

特別読物「これぞ世界仰天ニュース 国際版『あの人は今』」より

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