「“俺、墓がないんだよ”と呟いた元夫を納骨できた」「ペットと入れるお墓も」 コロナ後のお墓のトレンドとは

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「俺、墓がないんだよな」

 以心伝心か。病院通いが続いたある日のこと。

「元夫が『俺、墓がないんだよな』と呟いたんです。私が『築地本願寺の合同墓にしようかなと思っているけどどう?』と言うと、元夫の顔がパッと明るくなりました。長く通った職場に近かったからです」

 再会後11日目に元夫は旅立った。坂上さんは、自宅近くの斎場で7人が出席する葬式を行い、元夫は荼毘(だび)に付された。そして「四十九日」に納骨。

「粛々と受け取ってくださった。あの状況の中、以前本で読んだ築地本願寺の合同墓をよく思い出したと思います」(坂上さん)

 築地本願寺では、遺骨を粉骨にし、個別の専用袋に入れて納骨堂に納める。その後、礼拝堂の回廊に名前が刻まれる(23年11月申し込みまで)。坂上さんは約3カ月後に同寺のサイトのマイページで納骨が完了したことを確認し、手を合わせに行った。さらに半年後、回廊に名前が刻まれたときも、お参りした。

「思い入れのある場所に近く、一緒に眠る方もいらっしゃる合同墓に納骨できてよかった。元夫も喜んでいると思います」

 築地本願寺では、6月に「合同墓納骨者総追悼法要」を開催しており、毎年1500人ほどが参集するという。

「ウチが何宗だったか、私、知らないし」

 続いてもう一例、「墓じまい」のケースも紹介したい。

 大阪市在住の篠原陽子さん(90)。46年前に夫、22年前に長男に先立たれている。「とても元気で、かっこいい人」と、亡き長男の妻だった一江さん(60)=川崎市=が言う。長男が亡くなったのは一江さんと離婚後だったが、一江さんと「ずっと仲良し」。陽子さんは、民族音楽好きが高じて50代半ばで単身スペインに渡り、12年間かの地で暮らした人だ。

「10年ほど前から、せっせと終活をしてきてね。2年前、ついにお墓に手をつけたんです。年齢的にもうこれ以上延ばせないと思って」

 篠原家の墓は大阪府北部の山の中腹に広がる公設霊園にあった。最寄駅からタクシーで往復1万円。入り口から階段をせっせと登らなければならなかった。いつ買ったか記憶になく、「あるのが当たり前」だったが、思い切って一江さんに墓じまいをしたい意向を伝えると「もちろん賛成」。一江さんが見つけてくれた石材店の「とても感じのいい若い女の子の担当者」からの見積書に、墓石解体・処分から竿石供養、残土処理、土の入れ替え、お骨上げ、洗骨まで一式合計24万8000円とあり、「そんなものなのね」と思った。彼女が、改葬先はアクセス的に町なかがいいとアドバイスをくれた。

「宗派のこだわりは?」

「ないない。ウチが何宗だったか、私、知らないし」

「この頃、そういう方、多いですね」

 そんなやりとりもした。

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