「“俺、墓がないんだよ”と呟いた元夫を納骨できた」「ペットと入れるお墓も」 コロナ後のお墓のトレンドとは

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「5年から10年で土に還ります」

 樹木葬は「なんだか自然っぽい」というイメージだろう。1999年に岩手県一関市の臨済宗祥雲寺(現在の運営は知勝院)が里山保護を理念に、「土に還る」形態を設けたのが始まりだ。だが、定義付けのないまま広がり、今や納骨場所に花や芝さえ植えれば樹木葬。市街地では、遺骨を入れたボックスを埋めた上を花で飾る形が主流だ。

 しかし、都内にも里山保護を理念とする樹木葬墓地がある。八王子市の「東京里山墓苑」。桜の木がシンボルツリーで、その根元に60×80センチを1区画とし、杉材の骨壷に遺骨を入れて埋葬する。

「おそらく5年から10年で土に還ります」と、運営主体のNPO法人「ロータスプロジェクト」代表で、延寿院住職の及川一晋さん。趣旨に賛同して生前にNPO会員になることが必要で、区画を得るのは、1人なら50万円、2人なら65万円、合祀(ごうし)形式なら20万円(いずれも別途粉骨料など必要)。昨年新たに「3人プラン(75万円)」を設けた。

「高齢のご夫婦が独身の子供さんの行く末を心配され、コロナ禍の際に『親子3人で入れますか』と問い合わせてこられるケースがどっと増えたためです」(及川さん)

ペットの樹木葬も

 さらに、墓じまいした大勢の遺骨がある場合も、粉骨にして受け入れ始めた。現在、契約者数、埋葬者数とも増加の一途をたどっている。

 樹木葬はペットにも及ぶ。仏教は、人間以外の動物を「畜生」と見なす。そのため、ペット専用の納骨堂は数々あっても、人間とペットが一緒に入る墓はなかなかできなかったが、22年ついに誕生した。江戸川区の浄土真宗證大寺境内の「藤と桜の樹木葬」エリア。マリーゴールドやラベンダーが咲く花壇の下の土中に家族だけの区画として専用の納骨箱を収める形だ。1区画78万円(価格は時期により変動)。人なら4柱の遺骨が入るが、ペットも一緒に、という仕組み。

「ペットを家族の一員と思う人がコロナで増えたため、必要度が高まっています」(井上城治住職)

 犬や猫、ハムスターの名前も刻まれた墓碑プレートを、ざっと30枚見つけた。

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