大阪桐蔭が6年ぶりの「夏頂点」へ興南を撃破! 選抜の「エース」と「4番」が外れたが…それでも“強い理由”

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課題だった守備面も改善

 一方、筆者が今年の大阪桐蔭で気になっていた点が、“守備の脆さ”だ。

 昨年秋の明治神宮大会の関東第一戦では、5失策が響き、9対5で敗れ、史上初の大会3連覇を逃した。さらに、選抜でも3試合で5失策を記録している。しかし、夏の大阪大会は7試合で失策はわずかに1。興南戦もノーエラーで、たびたび好プレーが飛び出していた。

 西谷監督に、守備面の改善についても聞いてみた。

「(守備のミスが多いことについて)本当にそういうことばっかり言われましたね(笑)。コーチは、とにかくエラーが多いということを言われるのが嫌みたいで、必死にノックを打っていました。その成果が出ているのかなと思います」

 こう話していた西谷監督だが、「相当な負けず嫌い」と公言しているだけに、選手やコーチに対して、相当な檄を飛ばしていたことは想像に難くない。大阪桐蔭の“弱点”とされた守備を数カ月で改善したところに、チームの底力を感じた。

 西谷監督の話を聞くと、「飽くなき向上心」と「勝利への貪欲さ」を強く感じる。次戦以降の課題について尋ねられると、西谷監督は、力強く答えた。

「(課題については)言い出したらきりがないです。もっともっとしっかり守って、もっともっとしっかり打って、粘って粘って粘り抜く大阪桐蔭の野球をしないといけない。(次戦まで)少し時間がありますので、しっかり練習して、上手くなって、次の試合に臨みたいと思います」

 甲子園では多くの指導者や選手が「ベストを尽くす」、「自分たちの野球をする」などとコメントしているが、西谷監督が発した「上手くなって」という言葉はなかなか聞かれるものではない。わずかな期間でも「まだまだ上を目指す」という意欲がよく表れている。

 6年ぶりの夏の頂点へ。大阪桐蔭の挑戦は続く。2回戦は、明豊(大分)に8対4で勝利した小松大谷(石川)と対戦する。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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