中日「根尾昴」、6失点KO負けで登録抹消…プロ野球OBが「今こそ二刀流での起用」を薦める理由

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 ソロ本塁打を含む8安打を浴び3回6失点で降板──。中日の根尾昂(24)が8月4日の広島戦で今季初先発したが、初回5失点という厳しい内容でKOされた。立浪和義監督は「苦い登板になったが、この悔しさと経験を活かしてほしい」と注文を付けた。しかし、SNSには改めて、中日の“育成能力”に疑問の声が殺到している。

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 野球解説者の広澤克実氏は「そもそも論として、なぜ中日の首脳陣は絶好調の広島に根尾くんを先発でぶつけたのか、この点からして全く理解できません」と首をひねる。

「広島は7月30日のDeNA戦から8月3日の中日戦まで5連勝中で、1日には巨人を抜いて首位に踊り出しました。一方、4日の広島戦に先発した根尾くんは、ストレートが走っておらず、スライダーのキレもありませんでした。あのピッチング内容で広島打線に立ち向かえると、どうして判断したのでしょうか。敗戦の責任は根尾くんの投球にあるのではなく、起用した首脳陣にあると思います」

 中日は4日に根尾を1軍登録し、そのまま広島戦に先発させた。デイリースポーツは根尾が抜擢された理由として、涌井秀章の故障離脱や柳裕也の不振を挙げている(註1)。

「心配なのは根尾くんの精神状態です。投手転向を命じられ、それでもコツコツと練習し、2軍で登板を積み重ね、プロ野球選手として自信を保ってきたはずです。それが今回のKOで粉々に打ち砕かれても不思議ではありません。たとえ根尾くんが前を向き続けているにしても、それは単なる結果オーライでしょう。根尾くんの精神面に悪影響が出てもおかしくなかったはずで、立浪監督が根尾くんを先発させた責任は問われるべきだと思います」(同・広澤氏)

二転三転ばかりの野球人生

 デイリー新潮が5月21日に配信した「根尾昂は今すぐ『ショートに戻してください』と直訴したほうがいい…迷走する中日“育成方針”にプロ野球OBが異論」でも触れたが、根尾の育成方針は“二転三転”した。

 根尾は大阪桐蔭高校時代、投手と野手の二刀流で甲子園を席巻したが、プロ入りに際し投手の道を自ら閉ざし、ショートのポジション争いに挑んだ。ところが、2年目と3年目は外野にコンバートされ、4年目には2軍戦で投手転向を命じられた。

 今季は開幕ローテ入りを目標に掲げたが、オープン戦3試合で0勝2敗、防御率3・86と低迷。ウエスタン・リーグで5試合に先発して2勝2敗の成績を挙げると、5月5日に1軍入りした。その際、立浪監督はリリーフでの起用を明言していた(註2)。

 実際、2試合でリリーフ起用。しかし、5月16日の阪神戦では原口文仁に3ランホームランを打たれるなど防御率5・79と散々な内容だった。立浪監督は「まだまだスピードも制球力も上げていかないといけない」と、23日に2軍降格を命じた。

 再びウエスタン・リーグに戻った根尾は、6月27日までに8試合に登板して4勝2敗の成績だった。そして、8月4日に1軍入りすると、いきなり首位の広島戦に先発登板。KOされた根尾は5日に再び2軍に戻ることになった──。

 広澤氏はこうした起用法を「理解できない」と指摘したわけだが、同感という野球ファンも多いのではないだろうか。

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