確実に「渋滞」する時期になぜ車で移動するのか…「渋滞も夏の思い出」と考える人の気持ちが分からない

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意味不明

 今年も渋滞がニュースになる季節がやってきた。日本では3連休でも渋滞になるし、お盆や年末年始も渋滞だらけである。ニュースでは「関越自動車道××で30kmの渋滞・東名高速道路〇〇で50kmの渋滞」といった報道が出るし、この時期のテレビの情報番組の定番は「果たして高速と一般道、どちらが早いか」といった企画である。

 正直、いつまでコレをやるんだ、と思う。会社や団体、各組織は、一斉に休む習慣を取りやめ、分散型の休みを導入せぇ! と主張したいのである。渋滞なんていいことは一つもない。車の中の雰囲気はドヨーンとし、子供達が「つまらないよ~」「おしっこしたい!」と大騒ぎ。運転をする親はイライラし、「渋滞の先頭の車の運転手は寝てるのか!」なんて愚痴ってしまう。

 渋滞のニュースに触れるたびに、私は不思議に思ってしまう。それは、「渋滞するのが分かっているになぜ敢えて車で移動するのか?」ということである。新幹線と路線バス(ないしはタクシー)であれば3時間で行ける場所に10時間かけて行くのは意味不明としか言いようがない。

11時間行列に並ぶ

 おそらく、渋滞すると分かっているのに車で移動する人の多くは「行列が苦にならない人」なのではなかろうか。東京ディズニーリゾートしかり、人気のラーメン屋しかりだが、嬉々として行列に並ぶ人が実際、存在するからである。

 私は1983年5月のゴールデンウィークに、その前月に開業したばかりの東京ディズニーランドに行った。祖母が新しいもの好きで、新しいモノができたらすぐに試したい人だったのだ。私は混雑するのが分かっていたので行きたくなかったが、一族でもっともエラい祖母の言うことには誰も逆らえなかったのである。

 結果としては、朝の8時に入り、21時までいたのだが、13時間で入れたアトラクションは「カリブの海賊」「ホーンテッドマンション」「ジャングルクルーズ」のみ。いずれも3時間待ちであった。しかも、最後に並んだ「スペース・マウンテン」は2時間並んでようやく館内に入れたところで故障が発生して終了。延べ11時間行列に並ぶというアホのような経験をしたのである。

 それ以来私は行列が大嫌いになり、同時に渋滞も意味のない行為だと考えるようになった。渋滞を許容する人は「行列と同じで渋滞も思い出の一つ」と前向きに捉えているのかもしれないが、果たしてそれは本心なのか。

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