とりわけ被害に遭っているのは「手塚治虫」「鳥山明」「高橋留美子」…コレクターが明かす「漫画家サイン色紙」最大の“問題点”
サイン色紙のプレゼントキャンペーン
言うまでもないが、漫画家のサイン色紙は、ファンにとっては垂涎の逸品である。なんせ作家本人手描きの一点物であり、もし手にすることができたら、それは一生の宝物になるのは間違いない。そんなこともあって、昔から漫画雑誌の読者プレゼントの定番であり、ネット社会の昨今では、XなどSNSで行われるキャンペーンの景品になることも多い。
【写真】本物? 贋作? ネットオークションに並ぶサイン色紙の数々
最近では、『うる星やつら』『らんま1/2』『犬夜叉』など、数々のヒット作がある漫画家・高橋留美子のサイン色紙が5名に当たるキャンペーンがXで行われ、話題になった。これは高橋留美子の画集『高橋留美子原画集 COLORS 1978-2023』の1万部突破を記念したもので、しかも本人に好きなキャラを描いてもらえるとあって、ファンの応募が殺到した。
そして、サイン色紙が見事当選した人は、Xで色紙の画像とともに喜びのコメントを投稿。5名全員が『犬夜叉』のキャラをリクエストしていたのは驚きだったが、全員が熱烈な高橋留美子ファンであることは、コメントを読むだけでわかった。まさに、手にするべき人のもとに色紙が渡ったな、と思えるキャンペーンであった。
とにかく多い高橋留美子の贋作
その一方で、色紙の画像がUPされることを不安視する人もいる。漫画家のサイン色紙のコレクターだ。こうした画像をもとに偽物を作る“悪いやつら”が多すぎるのだという。長年にわたり漫画家のサイン色紙をコレクションし続け、高橋留美子の直筆イラスト入りのサイン色紙も当然のように所有するT氏は、このように語る。
「高橋留美子先生のサイン色紙は以前から偽物、つまり贋作を作る贋作師が本当に多くて、コレクターは頭を抱えているんですよ。贋作は贋作師が既存の色紙や単行本の表紙、最近ではXなどで本物の色紙の画像を検索し、その画像をトレースして作り、ネットオークションやフリマサイトに出品されます。ほとんどが稚拙なものですが、それでも買い求める人がいるのです」
一般的に、芸能人や野球選手などのサイン色紙は、本人から直接もらうからこそ価値があるとされている。ところが、漫画家やイラストレーター、アニメーターのサイン色紙は特別な存在だ。直筆の絵が入ることが多いため、「サインではなく芸術品」として、美術品的な価値を見出す人が世界中にいる。
なかでも、高橋留美子のサイン色紙は1980年代からずっと人気があり、近年では世界的な評価も高まってきている。海外にも、「いくら出してでもほしい」という熱狂的なファンが多いのだという。「高橋先生が漫画界に与えた影響は大きく、絵もかわいい。コレクターにとっても必携アイテムのひとつなんです」と、T氏は語る。
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