沖縄戦、最後の秘話…「生きて伝えよ」と命じられた元兵士が持ち帰った“玉砕の記録” 戦後に始まった“新たな戦い”とは
筆者(七尾和晃)が石井耕一さんの存在を知ったのは、およそ18年前にさかのぼる。東京・靖国神社に隣接する、偕行文庫と呼ばれる場所に集められた証言や手記などをあらためている中で、沖縄戦で生き残った石井さんの存在を知ることになった。【七尾和晃/記録作家】
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新潟県出身の石井さんは、出征時31歳。終戦の翌1946年、沖縄から日本本土へ自身が所属する中隊の「戦時名簿」、いわゆる人事記録を持ち帰った人物である。
沖縄本島南部の戦線で、拠点としていた洞窟(ガマ)の中に埋め隠していたものを、人事係であった石井さんは米軍の捕虜となったのち、捕虜収容所の中から回収することを計画し、成功したのだ。...