戸郷翔征、東克樹、丸佳浩…意外と知られていない「夏の甲子園」での熱闘をプレイバック!
8月7日に開幕した第106回全国高校野球選手権大会。現在プロで活躍する選手たちの中にも夏の甲子園出場組が多数いるが、チームが初戦で敗退したり、上位進出できなかったなどの事情から、当時の印象が意外に薄い選手も少なくない。【久保田龍雄/ライター】
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甲子園でも好投の光った巨人・戸郷翔征
今季は入団6年目で初の開幕投手を務め、5月24日の阪神戦でノーヒットノーランを達成するなど、押しも押されぬ巨人のエースに成長した戸郷翔征もその一人である。
聖心ウルスラ2年時の2017年夏、同校はノーシードから宮崎県大会を勝ち抜き、12年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。
背番号1の戸郷は、140キロ台の速球を武器に、3回戦の日章学園戦で延長11回、191球を気力で投げ抜き、16三振を奪うなど、5試合37イニングで45奪三振の“ドクターK”ぶりを発揮した。
そして、甲子園の1回戦、早稲田佐賀戦でも、戸郷は最速142キロの直球と切れのあるスライダーを巧みに織り交ぜ、4回まで1本も安打を許さない。
5対0とリードの7回、球が高めに浮いたところを狙われ、4連打などで2点を失ったが、なおも無死満塁のピンチに後続3人を三振、遊ゴロ、三振に打ち取り、「打者に向かっていく強い気持ちで投げられた。感情を顔に出さないよう、ポーカーフェイスを意識した」と振り返った。
終わってみれば、毎回の11奪三振を記録し、2失点完投勝利。同校に甲子園初勝利をもたらした。
だが、2回戦の聖光学院戦では、2回に自らの右前2点タイムリーなどで3点を先制したものの、初戦に比べて変化球の切れが今ひとつ。3回1死二、三塁のピンチで、直球が真ん中に入るところを打たれ、2失点。4回にも高めに浮いた球を打たれて同点、5回には2つの暴投で勝ち越し点を許してしまう。夏の甲子園に11年連続出場の聖光学院の各打者は、低めの変化球を見極め、厳しいコースの直球はカットするなど、思いどおりの投球をさせてくれない。
「投げる球がなくなった」戸郷は8回途中降板し、試合も4対5の惜敗。「9回まで投げられず悔しい。自分の投球が通用しなかった」と悔やんだ2年生エースは「絶対甲子園に帰って来て、2回戦を突破する」と誓ったが、高校最後の夏は県大会準々決勝で敗れ去った。
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