「卵忘れたから待ってて!」、カゴへの入れ方にクレームも…「スーパーのレジ係」が明かす理不尽カスハラの実態 「レジ係が椅子に座るとお客さまから批判されそう」
客は「なんでもやってもらえる」と思っている
先述した通り、レジ係は多くが女性だ。一般的に、女性は男性よりもカスハラを受けやすい。それにスーパーは、衣食住を支える大衆性のある場。店側が客を選べないうえ、買い物客の誰もが「レジ」を通るため、レジ係は理不尽なクレームやカスハラを常に受けやすいのだ。
今回のレジ係に対する取材でも、「店員だからなんでもやってもらえると思っている客が多すぎる」という、理不尽なクレームを訴える声が多かった。
「スキャンした商品をカゴに移し替えている間、入れ方を細かく指示してくる方、商品をほとんど打ち終わっているのに『卵忘れたから待ってて』と売り場へ消えてしまう方、レジを閉めて他の対応に当たっているのに、「Close」のプレートをどけて『会計しろ』と言ってくる方。実に色んな方がいらっしゃいます」
「お客さまのなかに、カートをレジ台に寄せるだけの方がかなりいらっしゃいます。レジ係に『移してくれ』と言わんばかりに。しかし、こちらから重たいカゴを台に載せると腰にとんでもない負担がかかる。1人で移せない時は声をかけていただければと思いますが、台へ移すのはお客さまの作業だという認識は持っていてほしい」
SNSにも、レジ係の人たちが日ごろ心に秘めた思いが溢れている。
「会計の順番が来た客が『5kgの(コメのブランド)がほしい』と言い出した客に、『かしこまりました、お待ちしております』と伝えたところ、『私に取って来いって言ってるのか』と怒り出した」
自身を神だと信じ込んでいる客は、もはや「疫病神」だ。以前、SNSではこんなツイートが議論を呼んでいた。
「店員は、セルフレジで買い物した客に『ありがとうございました』って言っちゃいけないルールでもあるのか? 普通に接客したら元気なお兄さんですら、セルフレジだとチラ見してスルーしてくる」
こういう客は自分から「ありがとう」「ご苦労様」と店員に声をかけてみたらいい。そうすれば店員は必ずや望み通りの言葉を返すはずだ。
困った客たち
あるレジ係は、イヤホンをつけたままレジを通ろうとする客に困っているという。
「それで会話が成立すればいいんですが、案の定、大概の場合は聞こえておらず、何度も言い直さないといけない。『ポイントカードを持っているか』『箸は付けるか』など、短くとも確認の会話が必要になるので、聞こえる環境にしておいてほしい」
最近の傾向として、店員がレジを打っている間、スマホをいじって待っている客が激増している。
「電子決済の準備をしているのかと思ったら、文字を打っていたり動画を見ていたりゲームをしていたり。金額を告げたあとにカバンから財布を出すお客さんが多い。あと、会計後に『あ、クーポンあります』『ポイントカードあります』と言ってくるお客さんも」
また、混雑時に困ることとして挙がったのが、「集団客」だ。
「店内が混雑している時に4人家族が4人で並ばれると通路をふさぐことになります。人数が多いほど、『誰が払う』『アレ買ったか』とレジでもたつくということもあり、混雑する時間帯は買い出しに行く人数を減らし、レジに並ぶ時も最少人数でお願いしたいです」
困った客は会計後の「サッカー台」にも現れる。「サッカー台」とは、客が商品を袋詰めする台のこと。そこにあるロール状の袋を大量に持って帰る客は、各店舗で問題になっている。
「トイレットペーパーかってくらい巻き巻きして持って帰る人がいるんです。もちろん商品は入れず、巻き取ったままカバンにしまって帰られます」
が、このサッカー台においてより問題視されているのが、生肉や生魚が敷かれている白いプレートを台下のごみ箱に捨てていく客の存在だ。
「ごみの分別が厳しくなった頃から、このようなお客さまが目立ち始めています。サッカー台周辺の掃除なども店舗によってはレジ係の仕事。生臭くなるし、何よりトレーから袋に移す際、サッカー台に肉や魚のドリップ(汁)が垂れて、周辺が不衛生な状態になるので本当に困っています」
対策として、不本意ながらもサッカー台にあるごみ箱を撤去した店もあるという。
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