「スマホを持っているだけで受信料徴収」という恐怖 警戒すべきNHK「放送法改正」の真の狙い

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受信料収入が激減

 NHKの業務を定める「放送法」が先ごろ改正され、番組のネット配信が「必須業務」となった。アプリなどから視聴することで受信料が発生する仕組みだが、その先にはスマホユーザーからの強制徴収という「公共インフラ」たらんとするNHKの狙いが透けて見えるのだ。【前後編の前編】

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 参議院本会議での可決を受けて改正放送法が成立したのは5月17日。従来、NHKの番組インターネット配信は、放送を補完するものとして実施の有無が同局に任される「任意業務」だったところ、今後は本業の放送と同等の「必須業務」に格上げされることになったのだ。

「NHKの受信料収入は2018年度の7122億円をピークに減少し、23年度は昨年10月の値下げも影響して6328億円。減収が続く中、ネットへの本格参入はNHKの悲願でした」

 とは、全国紙文化部デスク。

「総務省の有識者会議は昨年8月、テレビを持たずにパソコンやスマートフォンで番組を視聴する人にも、相応の費用負担を求めることを盛り込んだ報告書をまとめました。一方で日本新聞協会などは、放送される番組と関わりの薄い文字ニュースまでNHKが無料で配信していることから、もはや放送ではなく活字メディアも併せ持つに等しいなどとして、ネット配信を必須業務とすることには一貫して反対。“民業を圧迫する”などと批判してきたのです」

受信料の根拠を拡大

 しかしながら、こうした議論を経て、改正法は成立。その概要は、

〈(NHKの)放送番組が社会生活に必要不可欠な情報として、テレビを持たない人にも継続的かつ安定的に提供される必要があるとして、インターネットを通じた同時配信、見逃し配信、それに番組関連情報の配信を必須業務にする〉

 というものだ。今後は受信料の根拠を、テレビなどの受信機設置に加えてネットによる「同等の受信環境」にまで拡大。受信料は地上契約(月額1100円)と同じ水準を想定しており、「NHKプラス」などのアプリをダウンロードしたのちIDを取得する手続きを経て、課金対象となる仕組み。すでに受信料を支払っている世帯は、追加徴収されない。

「三つの必須業務のうち番組関連情報とは、放送される番組と密接に関連する情報で、番組の編集上必要な資料によるものとされています。あわせて、民業圧迫を懸念する新聞協会に配慮する形で、NHKはこれまで展開していたネット独自のコンテンツを取りやめることになりました」(同)

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