「閉経すると性欲はなくなる?」 知られざる高齢女性の“性”の最前線…近年増え続ける「HKJ」の実態とは
「女の身体は正直」
「わたしは、もともと生理はとても正確でした。生理不順の経験もまったくありませんでした」
そう語る潤子さん(仮名)は50歳代半ば。さる大手企業で宣伝広報をつとめている。ショートヘアにパンツスーツが似合う、颯爽とした女性である。なかなか若々しく、一見、いま給与詐取疑惑や不倫で話題の、広瀬めぐみ参院議員に顔つきが似ている。ご主人は60歳代半ば。同業他社の勤務だったが、すでに定年退職し、いまは契約雇用で週に1~2回の出社だという。子どもは男女2人だがすでに結婚して家を出ている。よって現在は、仕事と、趣味のミュージカル観劇やグルメ探訪を悠々と楽しんでいるそうだ。
「ところが、48歳を過ぎたころから、生理の時期がメチャクチャになりはじめたんです。ああ、これはついに(閉経が)来たなと思い、医者に行き、ホルモンを安定させる薬をもらいました。特に身体がほてるとか、痛みがあるとか、その種の“症状”は皆無で、そのまま“終了”となりました。ただ問題は、その時期、とにかくセックスをしたくてどうにもならなくなったことです。医者からは“男性ホルモンが減らない体質みたいですね”といわれましたが、女の身体は正直だなと思いました。体内の奥から“いまのうちに、楽しんでおきなさい”と言われているような気がしました」
実は潤子さんは、若いころからセックスをスポーツのように楽しむタイプだった。「あまり大きな声ではいえませんが」と笑いながら、結婚後も、セフレ男性としばしば楽しんできたという。
「わたしはどうも若いころから、オジサマ好みで、同年代の男性がダメなんです。結婚前の20代のころも、40~50代のオヤジとばかり付き合っていたほどです。そのうちの何人かと、以後も長く“セフレ関係”をもってきました。そこで、やりたくてたまらなくなった時期に、そのうちのひとりと会ったのですが、なにぶん、相手も70代前後になっているので、まったくアチラがダメなんですよ。わたしを満たしてもらおうと思っていたのに、逆にこっちが必死になってサービスしなければならず、疲労困憊でした(笑)」
結局、もうひとりの“旧セフレ”と会って、なんとかおさまったという。
「だけど、恥ずかしい話ですが、1回セックスした程度では、どうにもおさまらなかったんです。がまんできないときは、こっそりセルフ(自慰)ですませていましたが、もし、今後このままだったら、いったい自分はどうなってしまうのだろうと、恐ろしくなったほどです。幸い、完全閉経後は、落ち着きましたが」
かくして閉経をむかえた潤子さんだが、その後は、「とても健康的に(笑)、セックスを楽しんでいます」という。
「というのも、妊娠の心配もないうえ、閉経後は、いわゆるイキ方(オーガズム)の質が変わったんです。若いころのようにガッツリ求めるセックスでなくても満足できるようになりました。以前が“爆発型”だったとすれば、いまは“ジワジワ型”とでもいうか。そこで、いまは、主人や、老人となった“旧セフレ”たちと、挿入ナシでのんびりしたセックスを楽しんでいます。ただ時折、相手が“臨戦態勢”になることもあるので、一応、専用の潤滑ゼリーも持っています。さすがに若いころのような“お湿り”は少なくなっていますので。いつまでできるかわかりませんが、こんな感じでバアサンになっていくのも、面白いような気になっています」
まさに理想的なHKJの道を歩んでいるようである。だが、上記『ルポ 高齢者のセックス』のなかで、“81歳のAV女優”として話題となった(2016年のデビュー時)、小笠原裕子さんは、こう語っている。
「この仕事してると、女優さんが痛くて入らないって聞くことがあるんだけど、私は痛いなんて思ったことないの。ローションを入れて、ぬめりを出す人もいるんだってね。私は、全然必要ない。今もそうだけど、汁はいっぱいですよ(笑)」
閉経後は、膣萎縮や性交痛を訴える女性が多い。だが潤子さんのようにゼリーを使用するHKJもいれば、80歳を過ぎても不要なひともいるのである。まさに女性の身体は千差万別、そう単純ではないのだ。案の定、もう一人、ライター氏の紹介で会った女性は、またちがった悩みを抱えていた。
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