1日30秒で絶大な効果が! 医師が提唱する「ドクターズスクワット」とは? 「生活習慣病、腰痛が改善」

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体重計に乗るよりも

〈以上がドクターズスクワットの具体的な方法である。確かに30秒のトレーニングなら「キツくない」し、負荷も小さいため「安全・安心」に取り組むことができそうだ。

 しかし、これを「続けられる」かは話が別。最後は、無理なく継続するための「習慣化するコツ」について語ってもらおう。〉

 運動や筋トレを続ける上で「体重の減少」をモチベーションにする人も多いと思います。ただ、ドクターズスクワットを続けることで、脂肪が減少して体重が減る人がいる一方、筋肉が増加して体重が増える人もいます。これらは、どちらも体にとっては良い変化です。是非、鏡に映った自分の姿を見てみてください。きっと引き締まった姿勢の良い体つきに変化しつつあるのが分かると思います。

 常々言っていることですが、ダイエットで体重を目標にしてはいけません。体重を目標にするとどうしても食事制限などに走りがちですが、それでは痩せ衰えていくばかり。もちろん体重が100キロ以上あるような方や持病の治療のために必要な方が食事制限をするのは仕方がありませんが、一般の人は極端な食事制限などすべきではありません。

 体重計に乗るより私がオススメしたいのは、2週間に1回程度、お風呂上がりなどに自分の全身を撮影すること。上半身を脱いだ状態でも肌着姿でもよいので、自分の体がどう変化していくかを写真で記録しておくのです。そうすると、だんだんお腹がくびれてきて腹筋の真ん中に縦線が入り、次第にポッコリお腹が解消していくのが分かると思います。

簡単な習慣

 体組成計で体脂肪率や筋肉量を計測するのも否定はしませんが、体脂肪率や筋肉量は機械で計算して弾き出された数値。従って同じ機械で測っていても、時間やコンディションなど、細かい条件で数値が変わってしまいます。そういった数字に一喜一憂するよりも、「昨日よりも今日」「今日よりも明日」と日々変わっていく体を自分の目で確かめる方がよほどモチベーションの維持に役立つと思います。

 ある研究によれば、簡単な習慣なら3週間程度続けることで習慣化できてしまうそうです。一方、難しい習慣は9カ月くらい続けないと習慣化できない。

 1日1回、立って座ってを繰り返すだけのドクターズスクワットはおそらく前者の「簡単な習慣」に分類できると思います。一方「朝、30分早く起きて近所を走る」などは「難しい習慣」に分類されるでしょう。

 経験のある人もいるかと思いますが、朝のジョギングは「昨日は飲み会だったから」、「今日は雨が降っているから」など、さまざまな困難が降りかかり、すぐに頓挫してしまうことが多いです。その点、ドクターズスクワットはそもそも「やらない理由」を見つける方が難しいのです。「会社の昼休憩」、「お風呂の前」、「テレビコマーシャルの間」。忙しい日常でも、細切れの「30秒」はいくらでも見つけることができます。

「とりあえず24時間の中で30秒だけ、立ったり座ったりを繰り返せばよい」。最初のうちはそんな鷹揚な心構えで、ドクターズスクワットに取り組んでみてはいかがでしょう。

吉原 潔(よしはらきよし)
整形外科専門医、フィットネストレーナー、医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本医科大学卒業。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師や三軒茶屋第一病院整形外科部長などを経て、2024年より現職。

週刊新潮 2024年8月8日号掲載

特別読物「『喫煙』『高血圧』に次ぐ危険因子3位『運動不足』で毎年5万人が死亡! 解消への扉『キツくない』『続けられる』筋トレとは 1回たった『30秒』普通のスクワットとは違う『ドクターズスクワット』」より

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