サウジ「ドラゴンボール」、中国「ウルトラマン」… 世界ですすむ“超巨大テーマパーク”で日本はどれだけ稼げるか

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 いまや「漫画」や「ゲーム」と肩を並べる勢いで急成長を遂げる、日本発の世界的コンテンツが「アニメ」だ。日本動画協会の調べでは、日本アニメの世界での消費市場は10年前の2倍にのぼる約3兆円。ただし近年、「市場の飽和」が指摘されるなど、成長を不安視する声も。ところがアニメビジネスの「新たなフロンティア」と呼ばれる“巨大市場”の登場に、世界が沸いているという。【数土直志/ジャーナリスト】

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 アニメビジネスの強みは、テレビ放送や劇場上映、ビデオソフト、配信といった「映像コンテンツ」だけでなく、作品やキャラクターを利用した玩具やアパレル、グッズ、ゲームなど「二次展開」と呼ばれるマーケットも巨大な点だ。さらに昨今は、タイアップカフェやミュージカル・舞台、脱出ゲーム、展覧会などへ関連ビジネスの領域は広がり、人気も売上もスパイラル的な上昇基調にある。

 ただ一方で、隅々にまで広がった最近のアニメビジネスを指して「飽和感」を指摘する声が上がり始め、「そろそろ頭打ちの局面では……」とささやく声もある。ところがいま、成長をもう一段押し上げる「新たな巨大市場」の台頭が世界の注目を集めている。それがテーマパークだ。

 今年3月、サウジアラビアの投資会社キディヤは、同国で進める巨大プロジェクト「キディヤ・シティ」に「ドラゴンボール」のテーマパークを建設すると発表。キディヤ・シティは〈脱石油〉と〈エンタメ立国〉への転換をはかるサウジアラビアの国家プロジェクトの中核事業の一つで、その目玉となるのが「超巨大テーマパーク」構想だ。

 ドラゴンボール・テーマパークはその一部だが、それでも同エリアだけで東京ディズニーランドとほぼ同じ50万平方メートルの規模になるという。現時点で完成時期や予想売上高などは未発表だが、世界有数のスケールを誇るテーマパークになることは間違いない。

ライセンス料「300億円」

 サウジアラビアで進行中の同プロジェクトによって、実は日本側にも利益がもたらされる構造になっている。キディヤと事業化で合意した東映アニメーションや、原作マンガを出版する集英社、そして原作者などにライセンス料が発生すると見込まれているためだ。

 テーマパークのもたらすライセンス料が一体どれくらいになるのか。参考となるのが、日本最大のテーマパークであるディズニー・リゾートを運営するオリエンタルランド(OLC)の例だ。OLCの売上高6184億円(2023年)のうち、テーマパーク事業は5137億円(同)。注目すべきは、米ウォルト・ディズニー社へ入園料の一部など、毎年300億円前後の巨額のライセンス料を支払っている点だ。

 ちなみに米ディズニー社は日本のディズニー・リゾートの建設および運営に投資や出資は一切していない。ディズニーの「キャラクター」や「世界観」を提供するだけで、巨額の収益を手にしているのである。

 ディズニー・リゾートは日本側から海外にライセンス料を支払う構図だが、これを日本アニメに置き換えると逆の流れになる。巨大なビジネスチャンスの到来を意味するが、海外の事業者が関心を寄せる日本のコンテンツはドラゴンボールに限らない。

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