「マツケンサンバのハッピーまちがいさがし」撮影現場で見せた、松平健のプロ意識 「待ち時間でも決して座らず…」
すべてのシーンを“実演”するマツケンのプロ意識に感動
「会見で松平さん本人もおっしゃってましたけれど、この間違い探し、けっこう難易度を高く設定しています。編集した私でさえ、あれ、どこだっけ? と間違いの箇所を全部思い出すのにずいぶん時間がかるくらい……」
そう言いながら照れ笑いする山口さんだが、摩訶不思議な世界観のページの数々は、どうやって撮影されたのだろうか。
「収録した70カットはすべて1日で撮り終えました。朝10時から撮影を開始して、終わったのは20時頃でしょうか。カット数も多いですし、松平さんがどんなテンションで臨んでくださるか最初は心配だったのですが、序盤からエンジンをかけていただけてホッとしましたね。ベッドで目覚めて、あくびをしながら両手を挙げるシーンから始めましたが、口を大きく開けつつ、“手をもう少し上にお願いします”などの細かい指示にも快く応じてくださったので、とても進めやすかったです」
芸歴の長い松平さんだが、“大御所感”を漂わせることもなく、”モノボケ”を含む攻めたオーダーにも、嫌な顔せず応えてくれたという。
「松平さんは、“こういう風に撮りたいです”と説明すると、すぐにこちらの意図を理解して物語を作ってくださる。しかも“フリ”だけじゃなくて、ちゃんと演技してくださるんですよ。例えば、衣装の手直しをするシーンで裁縫道具を持っているのですが、ただ構えるだけでなく、実際にチクチクと縫い進めてらっしゃるんです。英会話の勉強シーンでも、“アッポー、アッポー”と口に出してくれたり(笑)。バランスボールに乗るカットも、ちょこんと“乗ってる風”で済ませるのではなく、本気で重心を調整してらっしゃいました。
その姿勢はまさにプロフェッショナル。役者魂に感動しましたね。やっぱり、芸能界で50年も輝き続けている人ってすごいんだな、と。松平さんだからこそ、ここまで1枚1枚こだわった写真に仕上がったのだと思います」
驚いたことがもうひとつあって、と山口さんは続ける。
「松平さんは休憩時間以外、セッティングの待ち時間などが発生しても、決して座らなかったんです。お着物ですし、お疲れになるかと思い、いつでも使えるスツールを用意していたのですが、腰かけることはありませんでした。お着物が乱れるのを避けるためと、ご自身の中で気力や集中力を切らさないようにしてらっしゃったのかと。1日がかりの撮影でしたが、体力的な面でストップがかかることもなく、マネージャーさんでさえもビックリしてらっしゃいました」
本書の発表会見で、「普段から1時間、忙しい日でも20分くらいはウォーキングをしている」と話した松平さん。70歳を越えてなお体力づくりに余念がないことにも、プロ意識を感じさせる。
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