奇本「マツケンサンバのハッピーまちがいさがし」誕生秘話 “剣はNG”の世界観が初めて明らかに

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松平健4

書籍を購入する「マツケンサンバのハッピーまちがいさがし」(幻冬舎)(他の写真を見る

書籍企画を受けたマツケン、「とにかく面白いことをしたい」

「2021年あたりから、マツケンブームが再燃していましたよね。商業施設のPARCOで展開された『マツケンサンバ』の期間限定店が、中高年のみならずZ世代にも盛況でしたし、少女漫画誌の『ちゃお』から『週刊女性』のような週刊誌まで、マツケンとコラボした付録をつけていて、幅広い世代に愛されているなと感じていました。

 あと、昔からカラオケで『マツケンサンバII』を入れると、みんな一緒に歌えるし、なかには踊れる人もいて、盛り上がるんですよね。 ブームが再燃したときに、マツケンサンバにはやっぱり人を楽しませる、ハッピーな力があるんだなと思いました」

 マツケンの持つ力を確信した山口さんは23年7月、「書籍を一緒に作りませんか」と事務所にオファー。当初は、本人が多忙とのことで据え置きになったが、諦めきれなかった山口さんは年明けに再度アタックし、企画の詳細をプレゼンする機会を得た。松平さんサイドからは事前に、「とにかく面白いことをしたい」とのオーダーがあったという。

「もともと複数の企画を考えていました。24年が芸能生活50周年ということで、まじめな新書を書き下ろしてもらうという案もありましたが、もっと楽しい内容に振り切りました。実現した“間違い探し”は70代の義母と小学生の甥っ子が同じ間違い探し本を解いているのを見て、これなら幅広い世代に楽しんでもらえるかもしれないと思いついたんです。そのほかに、“ウォーリーを探せ”ならぬ“マツケンを探せ”的な企画と、パワースポット巡りに絡めた企画を提案。最終的には間違い探しとウォーリーの決戦となり、前者に落ち着きました」

 間違い探しに軍配があがったのは、マツケンの“ビジュアル力”にも着目したからだそう。PARCOの企画展で、配布されたマツケンのお面が若者に大人気だったことにヒントを得た。

「マツケンは、そのオーラや表情にもインパクトがあるから、みんなが惹きつけられるんだなと。ご本人から、“これだけマツケンサンバが支持されているのだから、世界観を作りあげたい”、“この扮装で生活している様子を見せたら面白いのでは”という思いも伺ったので、“知られざるマツケンの日常に密着”をテーマに、写真を大きく使える間違い探し本を作ることにしたんです」

マツケンのイチオシ「ミラーボールの木」が生まれるまで

 ならば写真にはとことんこだわろうと、制作チームは打合せを重ねた。マツケンは何に興味があって、どんな毎日を送っているのか? 松平さん自身の趣味や性格も反映しながら、マツケンが起きてから寝るまでの全70シーンを、ひとつひとつ具現化していった。制作を進める上でのキーワードは、「わかりやすくてキャッチー」、そして「明るくてハッピー」だったという。また、ご本人サイドから「全体的にキラキラさせて」との希望もあったそうで、目指すところはまさに、世間が抱いているであろうマツケンサンバの印象そのものだ。

「そのうえで、松平さんサイドからはまず、マツケンサンバには欠かせない『ミラーボール』が出てくるシーンと、ステージで使うマイクを選んでいるシーンの案を出してくださいました。そこから生まれたのが、ご本人もいちばんのお気に入りという、“ミラーボールの木”を育てているカットです。でも、これ……どうやって表現したらいいのか、そうとう悩みました。小道具は手作りしたものもたくさんあるのですが、“育成中ってことは、いろいろな大きさのミラーボールの実が必要だよね”、“実の模様も複数あったほうがバリエーションが出るかなぁ”と、あれこれ考えながら何種類もミラーボールを買ってきて、自宅の観葉植物に吊るしてバランスを見るなど、悪戦苦闘しました。

 だから、現場で松平さんが“これ、やっぱり面白いね”と笑顔を見せてくださったのは嬉しかったですね。このシーンに限らず、細かい設定を考え抜いたので、読者の方から“写真を見るだけで癒される”、“かなりこだわって作っていますね”などの声をいただけることが励みになっています」

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