世界各国が“誤審ピック”にブーイングも「フランスメディア」はどこ吹く風…柔道「篠原信一氏」が涙を呑んだ「世紀の誤審」はなかったことに…

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「世紀の誤審」を否定!?

 デゥイエ氏の隣には、何と日本柔道連盟の会長である中村真一氏が座っていた。ドゥイエ氏は「テディ・リネール選手がルーレットに選ばれることを期待していた」と打ち明けている。リネール選手は100キロ超級で金メダル。さらに混合でも90キロ超級で斉藤立選手と対戦し、勝利を収めていた。

 そしてルーレットが90キロ超級で止まった時のことを、ドゥイエ氏がどのように振り返ったか、記事の日本語訳でご紹介しよう。

《隣には日本柔道連盟の会長がいました。私は狂喜だったが、表には出さなかった。私は公式役員のテーブルにいたが、彼を見ずにはいられなかった。お互いに顔を見合わせた。目と目が合った。彼の眼の中には敗北があった。私は『すみません、私たちのせいではありません』と言いながら、肩をすくめた》

 ドゥイエ氏は、ルーレットに不正はなかったと指摘している。システムは国際柔道連盟が運営しているため、“フランスびいき”も“日本びいき”も不可能な状態になっているというのだ。

「気になるのは、フランス版のウィキペディアでは篠原氏とドゥイエ氏の決勝戦は誤審と書かれていないことです。イギリスBBCの報道を出典として、『日本側が抗議した』とあるだけなのです。今年6月にフランスの大手地方紙『ウエスト・フランス』がドゥイエ氏にインタビューを行ったのですが、そこでも彼は『篠原氏にポイントが付くという誤審が行われるのではないかと不安だったが、審判は誤審しなかった』と発言しています。」(同・ジャーナリスト)

事実とは異なる取材結果

「世紀の誤審」に関する事実関係を確認しておく。2000年10月、国際柔道連盟の審判委員会は事実上、誤審を認める報告を理事会に提出した。勝者が篠原氏であるのは明らかであり、ウエスト・フランス紙の記事は問題があると言わざるを得ない。ただし、篠原氏を金メダル、ドゥイエ氏を銀メダルと変更することまでは行われなかった。

註1:柔道、誤審なしも欠いた一貫性 五輪、審判員向上を(8月6日:共同通信)

註2:ル・モンドの記事に出典は未掲載だが、配信日や内容から、「【柔道】相次ぐ日本不利の判定に国際連盟“脱退論”沸騰『別の組織作って講道館の継承を』」(東スポWEB:7月29日)だと考えられる。

註3:出典は未掲載だが、内容から「[スキャナー]落日の柔道王国 男子 五輪『金』ゼロ」(読売新聞朝刊:2012年8月4日)だと考えられる。

デイリー新潮編集部

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