世界各国が“誤審ピック”にブーイングも「フランスメディア」はどこ吹く風…柔道「篠原信一氏」が涙を呑んだ「世紀の誤審」はなかったことに…

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“誤審ピック”という言葉が流布したように、パリ五輪では審判のジャッジに対する疑問の声が相次いだ。特に柔道は複数の誤審疑惑が持ち上がり、XなどSNSには抗議の投稿が殺到した。このためテレビ局や新聞社も元オリンピック代表に検証を依頼、例えば情報番組「Mr.サンデー」(フジテレビ系列)では8月4日、野村忠宏氏をゲストとして招いた。

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 野村氏はアトランタ、シドニー、アテネ五輪で金メダルを獲得している。番組での発言はスポニチアネックスが同日、「野村忠宏氏 続発した五輪柔道の不可解判定に言及 「今回はいつもより、ん?って思うのが多かった」との記事で配信した。

 タイトルから分かる通り、野村氏は「パリ五輪は普通の国際大会に比べ、“ん?”という不可解判定が多かった」と指摘した。

 ロンドン五輪に出場した穴井隆将氏は共同通信の取材に応じ、「大きな誤審はなかった」としながらも、「指導を出すタイミングには一貫性がなかった」と批判した(註1)。

《指導3の勝敗決定が多ければ面白さに欠けるし、分かりづらい。第2日までは技で勝敗を決めたいという国際柔道連盟(IJF)の意図がうかがえた》

《ところが男子73キロ級と女子57キロ級の第3日になると、指導3による決定数が初日の約3倍に急増。試合進行の遅れを懸念し、普通の国際大会のテンポに突如戻った格好だ。第4日以降も指導が出るタイミングはなかなか一定しなかった》

 穴井氏の指摘を具体的に見てみよう。まず男子73キロ級は橋本壮市選手が準々決勝で反則負けとなった。この時、SNSが誤審の指摘で溢れたのはご記憶の方も多いだろう。

 女子57キロ級では韓国のホ・ミミ(許海実)選手(日本名・池田海実=早大)が決勝戦で反則負け。韓国メディアは誤審の可能性を大きく報道した。

永山選手への誤審

 穴井氏は3日目から急に反則を取るようになった理由として、運営側が《試合進行の遅れを懸念》したことを挙げているのは、先の引用部分にある通りだ。

 あまりに恣意的なジャッジだと言わざるを得ず、穴井氏は《このような流れでの決着になると、選手は同じ判定を受けたと言えるのだろうか》と疑問を呈したが当然だろう。

 このように複数の専門家が誤審の可能性を言及しているわけだが、それでは開催地であるフランスのメディアは柔道の誤審問題をどのように報道しているのだろうか。

 実はフランスの新聞社も柔道の誤報問題を報じている。それも高級紙として知られるル・モンドだ。ただしパリ発のストレートニュースではなく、東京特派員による署名記事。要するに「日本では誤審問題が論争されている」という内容になる。フランス在住のジャーナリストが言う。

「記事は電子版で8月2日に配信された『2024年五輪:日本では、柔道の審判が議論されている』です。永山竜樹、橋本壮市、村尾三四郎の3選手の試合について、日本では審判の判定に異論が噴出しているとル・モンドは伝えました。まず永山選手の試合は、審判が『待て』を宣告したにもかかわらず、スペイン人選手は首の絞め技をかけ続けました。結果、永山選手は失神。すると、なぜか審判は『待て』と言ったにもかかわらず、絞め技による一本勝ちと判断したのです」

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