ベスト8敗退も「大岩ジャパン」の進化は明らか W杯でも活躍が見たい「5選手」

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 パリ五輪男子サッカーの準々決勝、U-23日本はU-23スペインに0-3で敗れて56年ぶりのメダル獲得は果たせなかった。試合後のフラッシュインタビューで大岩剛監督は、2021年12月の就任から3年7ヶ月もの間、苦楽をともにしてきたチームについて聞かれると、感極まって言葉に詰まりながらも次のように絞り出した。【六川亨/サッカージャーナリスト】

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「この上はフル代表しかないので、しっかりそこを目ざして成長してほしいなと思います」

 日本はスペインに0-3で敗れこそしたが、グループリーグの戦い方は見事だった。初戦で南米予選を1位で通過したパラグアイを5-0で撃破した試合は衝撃的だった。

 MF三戸舜介が先制点を奪うと、前半でパラグアイに退場者が出たこともあり、後半はMF山本理仁の追加点に三戸の2点目、さらに交代出場のFW藤尾翔太の2ゴールで突き放した。終盤のPK失敗もあり、パラグアイに手も足も出させない完勝だった。

 続く第2戦は今年3月22日の親善試合で1-3と逆転負けしたマリが相手だった。この時は相手のフィジカルとスピードに後半は翻弄された。

 しかし五輪ではマリの決定機をGK小久保玲央ブライアンの3度にわたるファインセーブによって無失点で切り抜けると、後半36分にはFW細谷真大がスピードでマークを振り切りグラウンダーのクロス。FW佐藤恵允のシュートはGKにブロックされたものの、長い距離を走ってフォローした山本が泥臭く押し込んで決勝点を決めた。

 2連勝で日本のグループリーグ突破は決定した。このため大岩監督はスタメン6人を入れ替えてイスラエル戦に臨んだ。

アジア最終予選は9月から

 立ち上がりこそイスラエルが攻勢に出たが、日本も粘り強い守備で対抗したため、イスラエルも無理はせずイーブンの展開に。後半に入ると大岩監督は選手交代とシステム変更で戦況の打開を試みる。

 効果的だったのは34分の交代で、MF荒木遼太郎に代えてボランチに藤田譲瑠チマ、MF川崎颯太に代えてエースFWの細谷を投入した。

 すると後半アディショナルタイム45+1分、藤田の速くて正確なパスに右サイドを攻め上がった佐藤がグラウンダーでマイナスのクロス。これを細谷が右足インサイドでヒットして決勝点を決めた。細谷にとって今大会初ゴールはスペイン戦に向けて自信になったことだろう。

 3年前の東京五輪では、DF板倉滉、冨安健洋、MF三笘薫、堂安律、田中碧、久保建英、FW前田大然、上田綺世、相馬勇紀ら9人がベスト4に貢献し、翌年のカタールW杯でも躍動した。

 2026年の北中米W杯まではまだ2年あるものの、アジア最終予選は9月から始まる。この予選を通じW杯本大会へ、パリ五輪のメンバーから何人の選手がフル代表へと引き上げられるか。冒頭で紹介した大岩監督のコメントにもあるように、今回のメンバーの次の目標はもうフル代表しかなく、W杯優勝ということになる。

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