賠償金「1兆円規模」の集団訴訟も…“PFAS先進国”アメリカと比べて「大きく出遅れている」日本の酷すぎる実態

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米国の「6倍」でも「問題なし」

 実は、アメリカの対策が進んでいることには、国内企業をめぐるこんな “歴史的背景”がある。

「PFASを開発して爆発的に売り上げを伸ばした世界的化学メーカーの3M社が2000年、PFOSとPFOAの製造を一切廃止すると発表したことが、大きなきっかけとなりました。これにより『PFAS問題』が表舞台に現れ、その危険性が社会で問題視されるようになったのです。後には同社の工場周辺で水道水汚染が発覚したことで集団訴訟も起こり、103億ドル(約1兆4800万円)の賠償金が支払われる形で和解しています」

 さすがは訴訟大国といえようか。同時期にはこんな法廷闘争も。

「大手化学メーカーのデュポン社に対しても大規模な集団訴訟が起こり、後に映画化されるほどの騒動になりました。同社の工場周辺でも水道水汚染が発覚し、住民7万人が原告団となって企業側を提訴したのです」

 こちらも住民への多額の和解金の支払いなどによって解決が図られたというが、

「このときに行われた、工場の周辺住民を対象に行われた血液検査によれば、血中PFOA濃度の中央値は1ミリリットルあたり28.2ナノグラムでした。現在の日本と比較すると、例えば水道水から高濃度のPFASが検出された岡山県吉備中央町の住民においては、これよりも6倍近い数値が出ています。こんな曝露量でも日本では、『問題無し』とされているのが現状です」

 こうした“前例”と比較すると、我が国の「緩さ」を感じざるを得ないのだ。

「かつてのチッソによる水俣病問題を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。甚大な被害が出てから動き出した歴史に鑑みれば、日本は同じ轍を踏もうとしていると思えてなりません」

 現時点で判明している調査結果をもとに、高濃度のPFASが検出された地点を週刊新潮がまとめた「全国141カ所PFAS『汚染ハザード』一覧マップ」は、有料版の記事で確認できる。

デイリー新潮編集部

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