賠償金「1兆円規模」の集団訴訟も…“PFAS先進国”アメリカと比べて「大きく出遅れている」日本の酷すぎる実態

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 日本の「水」を脅かす“発がん性物質”PFAS。いまだに法的な義務をともなう含有基準が示されず、国の対応の遅れが度々指摘されるが、これがどれほどの問題なのか、いまいちピンと来ないという方も多いかもしれない。そこで“PFAS先進国”として、すでに「PFASゼロ」に向けて動き出しているというアメリカの現状に目を向けみると、我が国の問題が浮き彫りになってくるのだ。

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 PFAS(ピーファス)と括られる化学物質の中でも、特に有害性が高いといわれるのが、PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)だ。発がん性をはじめ、様々な健康リスクが指摘される中、全国各地の水源地から高濃度で検出されていることが問題となっている。

 しかし、日本は“重い腰が上がった状態”で、ようやく本格的な水道の実態調査が行われようとしているところ。こうして政府が後手後手の対応であるがゆえに、「実際はどれくらい重大な問題なのか」と疑問を抱いている方も多いのではないだろうか。

「欧米と比べて、日本の対応は大きく遅れていると言わざるを得ません」

 そう指摘するのは、PFAS研究の第一人者で、京都大学大学院医学研究科(環境衛生学)の原田浩二准教授だ。

「例えば、飲料水におけるPFAS含有量の基準値で比較してみます。いち早くPFASが社会問題化したアメリカでは、1リットルあたりPFOSとPFOAそれぞれが『4ナノグラム以下』となるよう、規制が決定されました。ヨーロッパの基準も厳しく、ドイツの場合、PFOSとPFOAの合計値が1リットルあたり『20ナノグラム以下』と提案されている。一方、日本ではまだ法的な義務をともなう基準はなく、1リットルあたり『50ナノグラム以下』という数値が“暫定目標値”となっています。比べてみれば、その差は歴然といえるでしょう」

 アメリカ各州ではすでに、PFASを使った衣料品の販売や食品包装の使用なども禁止され始めている。またEUでは、焦げ付き防止の料理道具や、スキー用ワックス、化粧品など、1万種以上のPFAS製品の製造や販売が規制されようとしている。つまり、飲料水のみならず、欧米はすでに「PFASゼロ」に向かって動き出しているのだ。

「対して日本では、食品包装や化粧品をはじめとして、まだまだPFASが生活にありふれています。それどころか、最もPFAS摂取リスクが高い水道水でさえ、今年の5月にやっと、全国規模では初となる実態調査が開始されたところです。各自治体や水道事業者から結果があがってくるのは秋以降ですし、取りまとめにも時間がかかるでしょう。そんな中でも、全国各地の水源の一部では、先の“暫定目標値”を優に超えるPFASが検出されている。私たちが口にする水の安全性が保証されるには、まだ当分かかりそうです」

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