「繊細な日本料理のよう」 40代のAYUMIのダンスはどこがすごい? 見どころを親交の深い専門家が解説

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 オリンピック新種目のブレイキンは今月9日から11日にかけて行われる。日本代表選手は女子が湯浅亜実(AMI=25)と福島あゆみ(AYUMI=41)、男子が半井重幸(Shigekix=22)と大能寛飛(Hiro10=19)。カッコ内はダンサーネームだ。

 そもそもブレイキンとは、

「ブレイクダンスの正式名称で、1970年代に、アメリカで生まれたヒップホップという文化の一要素です。ヒップホップの中にはブレイキン以外にDJ、MC(ラップ)、グラフィティがあります」(公益財団法人日本ダンススポーツ連盟のナショナルチームライフコーチで弁護士の石垣元庸氏)

「世界基準で見ても高いレベル」

 NYの貧困地区で縄張り争いをしていたギャングのボスが「暴力ではなく、音楽と踊りで勝負しよう」と呼びかけたのがきっかけで始まったともいわれるヒップホップやブレイキン。

「70年代の後半、さまざまな映画の題材となったことで世の中に広まっていったのですが、一番影響が大きかったのは83年の映画『フラッシュダンス』でしょう。当時、日本にも入ってきていて、それが第1世代。その諸先輩方からの伝承により、今、日本のブレイキンは世界基準で見ても高いレベルにあります」(同)

 いかなる経緯で五輪の種目に選ばれたのか。

「以前から世界ダンススポーツ連盟が主体となって社交ダンスを五輪の種目に採用してもらうためのロビー活動が行われていたのですが、ある時期に『若者に人気のブレイキンもあります』とブレイキンもあわせて上申されるようになり、結果、ブレイキンが単独採用されました」(同)

即興ゆえの衝撃

 ブレイキンは「トップロック」「フットワーク」「パワームーブ」「フリーズ」という四つの基本要素から成り立っており、1対1の直接対決で競う。

「トップロックは立って踊るステップ。フットワークは地面に手をついて、足技を見せ、踊るスラップ。全身を使って頭や背中等で回転するのがパワームーブ。片手で逆立ちをしたりして、“締め”として入れるのがフリーズです」(同)

 踊る際に流れる音楽を選手は事前に知ることができない。それゆえ、

「即興で音楽に合わせにいくからこそ生まれる衝撃が現場では大きく、それが出てくると会場全体が巻き込まれるようにノッて物すごく沸くんです。それを『On Fire』といいます。火がついて燃え上がるように観客を巻き込む踊り。それが勝敗を分けたりします」(同)

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