習近平を「国賊」「独裁者」と叫ぶ横断幕が出現 2年前にも似た垂れ幕が 首謀者は現在“消息不明”

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経済無策が引き金に

 このように考えると、今回の事件は大学教育を受けたか、あるいは都会の企業でリストラにあったかのいずれかで、田舎に帰ったか、その近辺に住んでいるフリーター的な若者が起こしたのではないかという仮定も否定できない。

 この事件の起こる2週間ほど前の7月18日、北京では中国共産党第20期第3回中央委員会全体会議(3中全会)で経済政策などを盛り込んだ決議が採択された。そこでは「全党全軍全国の各民族や人民は習近平同志を核心とする党中央の周囲でさらに団結しなければならない」と強調するなど、習近平独裁体制の強化が一段と際立つ形となった。

 その一方で、「不動産、地方政府債務、中小金融機関など重点リスクを抑える方針をしっかり実行する」と明記されたものの、その具体策はなく、これまでの弥縫策と問題先送りが連発され続けることが確実となった。

 つまり、習近平主席による独裁体制が強化される一方で、経済無策が明らかになったわけで、それが今回の事件の引き金になったとみることができるのではないか。

 渦巻く習近平体制への不満は、都市部から地方に波及し、いよいよ目に見える形にまで広がっているようだ。

相馬勝(そうま・まさる)
1956年生まれ。東京外国語大学中国語科卒。産経新聞社に入社後は主に外信部で中国報道に携わり、香港支局長も務めた。2010年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『習近平の「反日」作戦』『中国共産党に消された人々』(第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞)など。

デイリー新潮編集部

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