森口博子「アニソンは生涯の財産」 歌手に憧れた少女が「ガンダム」と出会い、不動の存在になるまで

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再びガンダム曲を歌い、紅白に6年連続出場

 森口の名前と顔がお茶の間に広く知れ渡り、ついに目指していた歌手として、大きなステップとになる曲が発売された。1991年2月の「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」。アニメ映画「機動戦士ガンダムF91」のテーマソングとして、前作「恋はタヒチでアレアレア!」を作詞作曲した西脇唯が作詞、西脇と緒里原洋子が作曲を担当した。

「それまではバラドルと言われていましたが、『ETERNAL WIND』でガラリと歌手としての認知が広がりました。デビューから6年目にしてようやくスタートラインに立てた、そんな思いがしましたね」

 この曲で紅白歌合戦に初出場し、そこから6年連続出場を果たした。子供の頃、母親と一緒に紅白を見て、「あたし、これ出るけん」と“宣言”したこともあるほどの夢だった。実際に舞台に立った時は「出とうやん(出ているじゃない)!」と感じ、「歌手の仲間入りができた」ことを実感したという。

 晴れ舞台の森口の歌声に乗った、映画のヒロインを想起させる曲に「鳥肌が立ちました」「涙が出ました」「森口さんの声の衝撃を一生忘れません」といった声が続々届き、まさに「歌手・森口博子」のマイルストーンを打ち立てる曲となった。

本格派の音楽番組にも出演

 1992年には、森脇健児との冠番組「夢がMORI MORI」がスタート。バラエティでの忙しさは変わらずだったが、王道の歌手としても、同年に「スピード」、翌年に「ホイッスル」といずれもPRINCESS PRINCESSの奥居香(現・岸谷香)の曲で連続して紅白出場を果たした。

「テレビでの森口のキャラクターに近い曲を書いていただいたので、テレビのバラエティでしか私を知らない人でもイメージがシンクロできる曲になりました」

「ホイッスル」では「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」の西脇唯とともに森口自身が作詞を手掛けるなど、歌手、アーティストとしての地歩を着実に固め、80年代のアイドルとしてはかなわなかった念願の全国ツアーも実現。バラエティ番組の歌コーナーへの出演で喜んでいた時代を卒業し、「ミュージックステーション」や「ミュージックフェア」など本格派の音楽番組に出られるようになった。

 その裏には、やはり歌手活動に対する並々ならぬ思いがあった。バラエティでの露出があって初めて歌が知ってもらえる状況ではなく、歌の仕事の割合を増やしたいという思いを社長に話した。1990年代半ばの話だという。

「歌のお仕事が増えないようなら、事務所を辞めることも視野に入れています、と直談判しましたね」

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