「阿部詩」に続いて兄「一二三」も号泣…柔道“誤審ラッシュ”で問われる「外国人審判のレベル」 1984年のロス五輪から「常に問題視されてきた」

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イスラエルの猛抗議

 テレビ中継で解説を行ったのは、ロンドン五輪の出場経験のある穴井隆将氏。穴井氏は新添に対する指導に疑問を呈し、Xでも同じ指摘が多く投稿された。

 8月1日の女子78キロ級・準々決勝で日本の高山莉加は、ドイツのアンナ=マリア・ワグナーと対戦。3分26秒に3つ目の指導を受けて反則負けとなった。これが不可解判定と指摘された理由は、パリ五輪の公式サイトで高山に対する3つ目の指導を「Undetermined」と記述したためだ。日本語に訳すと「未確定」となり、モヤモヤとした疑問だけが残ってしまった。

 同じ日の柔道男子100キロ級・3位決定戦では、イスラエルのペテル・パルチクとスイスのダニエル・アイヒが対戦。試合は開始2分15秒でパルチクが技ありを奪ったのだが、残り5秒で審判がパルチクに3度目の指導を宣告した。

 残り5秒で銅メダルを逃したパルチクは硬直し、アイヒは歓喜。イスラエルのコーチが猛抗議を行うと、協議が開始された。結果はパルチクの反則が取り消され、残り5秒で試合を再開。アイヒは果敢に攻めたが決まらず、パルチクの“逆転銅メダル”が確定した。結果としては訂正されたわけだが、視聴者に“誤審ピック”を強く印象づけたのは言うまでもない。

ロス五輪でも誤審

 最後の試合は8月3日、柔道混合団体の決勝戦。第5試合の男子73キロ級は阿部一二三とフランスのジョアン=ベンジャミン・ギャバが対戦。

 ガバは3分11秒で指導2つとなり、延長戦に入っても、消極的な姿勢に見えた日本人は少なくなかったようだ。Xでは指導を出さない審判への異論が相次いだ。結局、試合は阿部一二三の一本負け。畳を降りると号泣し、「申し訳ない気持ちで一杯です」と謝罪した。

 パリ五輪の柔道は、史上稀に見る誤審だらけの大会として後世まで語り継がれる──こう感じた向きも多かったかもしれない。

 ところが五輪の歴史を振り返ると、少なくとも1984年のロス五輪の頃から、「柔道の外国人審判はひどすぎる」とスポーツ紙は言うまでもなく、朝日や読売といった全国紙でさえも指摘しているのだ。担当記者が言う。

「ロス五輪は7月28日から8月12日までの16日間、開催されました。日本柔道は無差別級に出場した山下泰裕氏が金メダルを獲得して話題を集めましたが、当時の新聞を見ると、体操、ボクシング、レスリング、そして柔道で不可解判定が続出したと報じられています。朝日新聞は8月14日の朝刊に担当記者による座談会を掲載しましたが、記者の一人はレスリングで3人の審判が誤審で処分されたことに言及し、《柔道も相変わらずひどい》と吐き捨てるように言っています」

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