「阿部詩」に続いて兄「一二三」も号泣…柔道“誤審ラッシュ”で問われる「外国人審判のレベル」 1984年のロス五輪から「常に問題視されてきた」

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 8月3日の混合団体で、波乱続きのパリ五輪「柔道」は幕を閉じた。終わってみれば、一番印象に残ったのは「誤審」という向きも少なくないのではないか。五輪期間中、特に民放は“メダルラッシュ”という表現を多用するが、柔道は“誤審ラッシュ”だったのかもしれない。まずは不可解判定の詳細を振り返ってみよう。(全2回の第1回)

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 日付順にご紹介する。まずは開会式の翌日、7月27日の男子60キロ級・準々決勝。審判が「待て」をかけたにもかかわらず、スペインのフランシスコ・ガルリゴスは6秒ほど絞め続け、日本の永山竜樹は失神してしまう。

 そして「待て」と言ったはずの審判がガリゴスの一本勝ちを宣告してしまったのだ。Xなどで多くの異論が殺到したのは当然だろう。

 28日の女子52キロ級・準決勝では、イタリアのオデッテ・ジュフリダとコソボのディストリア・クラスニチが対戦し、ジェフリダは指導3つで反則負けとなった。

 彼女は3位決定戦に進んだものの、ブラジルのラリサ・ピメンタとの対戦でも指導3つで反則負け。2試合の審判が同一人物だったこともあり、イタリア柔道連盟は誤審の疑いが強いとして国際柔道連盟に正式な抗議を行った。

 29日の男子73キロ級・2回戦では、日本の橋本壮市とフランスのジョアン=ベンジャミン・ギャバが対戦。日本人の多くは橋本が積極的に攻め、ガバは消極的な姿勢に見えていた。ところが結果は「極端な防御姿勢」や「組み手を故意に切った」など指導3つを受けた橋本が反則負けとなってしまった。

韓国でも誤審の指摘

 30日の女子57キロ級・決勝では長野県出身のカナダ・出口クリスタと、東京都出身の韓国・許海実(フ・ミミ)が対戦。試合は延長戦にもつれ込んだが、許に指導3つが与えられて反則負けとなった。

 韓国では誤審の指摘が相次ぎ、専門家も「許が積極的に攻撃したのに、なぜか指導を与えられた」と、日本の橋本が敗北した時と類似した疑問を指摘。

 更に出口が試合後のインタビューで「もっといい柔道をするために、私たちが変わるべき部分があると思う」と発言したことも、韓国メディアを中心に「誤審を認めた」と受け止められた。

 30日の女子63キロ級・2回戦では、日本の高市未来がクロアチアのカタリナ・クリストと対戦。延長戦の開始7分過ぎに技ありを奪われて敗れた。

 ネット上で疑問が殺到したのは、クリストの消極的な姿勢。指導2つをもらっても偽装攻撃を繰り返していると感じた視聴者は多かったようで、Xでは誤審の指摘が相次いだ。

 さらに、31日の女子70キロ級・準々決勝。日本の新添左季はオランダのサンネ・ファンデイケと対戦したものの、開始2分でファンデイケが体落としで技ありを決め、新添は挽回できずに敗退。物議を醸したのは、審判が新添に指導2つを与えたことだ。

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