NHK「中川アナ」が何を着ようが彼女の自由 女性を支配する“男目線”…日本の後進性にア然とする

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メディアの視線こそ…

 日本選手の活躍がめざましいパリ五輪で、NHKの中川安奈アナウンサー(30)の服装が物議を醸した。7月26日、開幕式の直前、女優の杏らと一緒に現地の様子をレポートしたが、白いジャケットのインナーに着ていたベージュのトップスが、肌と同化しているように見えたとのことで、「何も着ていないかと思った」といったコメントが、SNS上に殺到したのである。

 SNSでこの手のことが騒がれるのは、毎度のことで違和感はない。しかし、この話題を多くのメディアが取り上げたことには、強い違和感を覚えざるをえなかった。

 その際、メディアは、次のようなことも強調していた。批判もある、中川アナは「NHKの峰不二子」と呼ばれている、局内には「こうした服装をするのはいかがなものか」という意見もある――。

 日ごろから女性の権利や男女共同参画を重視しているはずのメディアだが、中川アナのあの程度の服装をこうして揶揄するのは、じつは、メディア自体が女性を下品な視点で眺めていることの証なのではないか。そんなことを思ってしまう。

ヨーロッパでは露出が多い服が当然

 ヨーロッパに行くと、女性が機能性の高い服装をしていることに気づく。痩せていても太っていても、体のラインに沿った服を着る人が多いが、それは「峰不二子」のようになろうとしているのではなく、機能性を重視しているからだ。下着が見えていても気にしているフシはない。

 特に夏場は老若問わず、肌を大きく見せた女性が目立つ。中には下着を着用していない、と思われる人も多い。むろん、それは男性を挑発するためではない。快適性を優先し、自分がラクにすごせる服装をしているにすぎない。

 男性もそれを当たり前に受け入れている。刺激を受けている男性はいるかもしれないが、ヨーロッパには、それを表に出してはいけないという通念がある。いわば、女性が自分のしたい恰好をすることができ、基本的にそれが受け入れられる大人の社会なのである。

 一方、日本はどうだろうか。昨年夏、大阪府泉南市で開催された音楽イベントで、韓国の女性DJ「DJ SODA」が胸を触られたとして、イベントの主催会社が観客の男女3人を告発する事件があった。そのときSNSなどには、「露出が多い服を着ているのが悪い」という声が上がった。

 また、「ちょっと露出多くないですか? もっと自分を大切にしてください」という意見も上がったという。そして、この声がいみじくも指摘するのは、日本では露出が多い服装をしていると、自分を大切にできない、すなわち自分を守ることができないという事実である。日本の男性は、露出が多い女性の服装への耐性がない、と言い換えることもできるだろう。

 むろん、ヨーロッパの女性も露出が多いのは夏場だけだが、寒い時期も大人っぽい、体のラインを強調した服を着ていることが多い。だが、それが「峰不二子のようだ」と揶揄されることはない。

 ところが、日本では体のラインを強調していては、揶揄されるばかりか自分を守ることもできない。したがって、おのずと大人っぽい服装を着るのを避け、体のラインを隠したかわいらしい服を好む女性が多くなる。

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