「雨天中止があるなら猛暑中止があってもおかしくない」 プロ野球「熱中症」続出で“夏の甲子園”はどうなるか

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 災害級の猛暑が続いている。プロ野球でも熱中症と思しき事例が相次いだ。

 7月3日、前橋市で行われた巨人対中日戦で、中日の涌井秀章投手が5回途中、顔面蒼白で降板。5日のベルーナドームでの西武対ロッテ戦では、ロッテの小島(おじま)和哉投手がマウンドで苦悶しながら降板した。19日に神宮球場で行われたヤクルト対DeNA戦でも、DeNAのジャクソン投手ら3人が熱中症の症状で途中交代するなどしている。いずれの試合もナイター。にもかかわらず、百戦錬磨のプロが続々とダウンしたのだ。

 そこで心配なのは、“夏の甲子園”に出場する高校球児たちである。

「地区大会では、さまざまな暑熱対策が取られるようになりました」

 と全国紙記者が語る。

 例えば、神奈川、千葉、愛知、和歌山、香川等の各大会では、開会式後に行われていた開幕試合がなくなり、当日は夕方開始の開会式後に散会した。福岡大会の式は、入場行進を廃した上、希望制とし、参加校は半数に激減。三重大会は屋内で式が行われた。

あくまで“試験的”な2部制

 では、地区大会の先にある“甲子園”はどのような対策を講じているのか。

「日本高野連は、大会第1~3日の試合において、午前と夕方に分ける2部制を導入するとのことです」

 日中の気温が高い時間帯に試合を行わないのは賢明な判断だ。しかし、

「実施はあくまでも“試験的に”だそうで、4日目以降は相変わらず。もはや悠長に“試験”している場合ではないと思いますが……」

 昨年から導入された5回終了時の“10分間クーリングタイム”を継続するのも結構だが、他にもやることはあるのではないか。

「例えば、打者がファウルで粘ったり、打線がつながるなどして攻撃時間が長くなったりしたら、守備側を一時撤収させ給水を促すとか。そもそも暑さ指数が31以上なら『運動は原則中止』すべきなのですから、試合そのものが中止のはず。雨天中止があるなら、“猛暑中止”があってもおかしくないでしょう」

 球児の命を守るには、更なる改善が求められよう。

週刊新潮 2024年8月8日号掲載

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