ベスト4進出ならず「大岩ジャパン」スペイン戦の敗因は「運のなさ」と“12人目の敵” 国際大会で勝ち抜くためには何が必要か

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入らないシュート

 めげることなく反撃に転じた日本は、前半45+6分のアディショナルに山田の右FKからファーサイドの細谷が決定的なヘディングシュートを放ったが、これは右ポストに阻まれ前半を0-1で折り返した。

 後半の日本は早めの選手交代で反撃を試みた。一進一退の攻防が続いた同27分、スペインはOA枠で出場のFWアベル・ルイスのFKがゴール左下を襲う。これはGK小久保が好反応で左CKに逃れたが、この左CKからデザインされたプレーで2点目を失った。

 CKはゴール前ではなく、ペナルティーアークの外で待ち受けるフェルミン・ロペスの元へ。F・ロペスは胸トラップからすくい上げるような右足ボレーでボールを落としてきた。

 これがゴール右に決まりスペインがリードを2点に広げる。EURO2024の優勝メンバーの一員であり、シュートの正確性に加えて視野も広く、展開力とドリブルでの突破力もあるバルセロナの至宝らしいプレーだった。

 日本はその後も右CKから失点して0-3とされるが、後半36分にはスペイン・ペナルティーエリア内で細谷がボールを奪うと右下を狙った決定的なシュート。しかしこれはGKアルナウ・テナスに右CKに逃げられてしまう。さらに同42分には右CKからニアでDF高井幸大がヘディングシュートを放ったが、これもクロスバーに嫌われてしまった。

スペインの巧みな試合運び

 GKの決定的なセーブ数はほぼ互角。攻撃陣の決定機も遜色はなかった。しかし0-3の大差がついた。「運がなかった」と言うのは簡単だし、事実でもある。

 しかし、スペインの巧みな試合運びと、前線からの連動した豊富なプレスが生命線の日本では、体力の消耗度にかなりの差があり、それがポストやバーを叩くシュートになってしまったと思うのは穿った見方だろうか。

 残念だったのは、前半から勢いに任せたラフなプレーと、ペナルティーエリア内での細谷のポストプレーからの反転シュートには何もできなかった17歳のクバルシをターゲットに攻めて欲しかったということだ。

 自分たちの持ち味を出すのもいいが、敵の弱点を察知して、チームとしてそこを徹底的に突いていく“マリーシア”も国際大会を勝ち抜くためには必要ではないだろうか。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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