「細川成也」「万波中正」「水谷瞬」はなぜ、プロ入り前の評価が低かったのか? 彼らの大活躍でドラフトの“トレンド”が変わる可能性も

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ドラフト5位指名だった細川

 他球団のスカウトは、当時の万波について、以下のように話す。

「バットに当たれば、打球は飛びましたけど、とにかく打撃フォームの“再現性”がなかったですよね。構えも打ち方も視察する試合のたびに変わっていました。実力があるピッチャーを全く打てないという印象で、プロに入っても一軍の戦力になるには相当時間がかかるタイプだと感じました。当時、上位指名を考えていた球団はなかったと思います」

 しかし、プロ入り後、万波は1年目から二軍でチームトップの14本塁打を放っている。これには、前出のスカウトも驚いたという。日本ハムの球団関係者は、「最初は打率が残らないのは当然で、長所にフォーカスして起用したことが成功要因だった」と話していた。

 万波ほどではないものの、細川も高校時代に評判だった選手だ。2年春に出場した関東大会では下位打線ながらホームランを放っている。完全にレギュラーに定着したのは2年秋から。そこからホームランを積み重ねて、高校通算本塁打は63本を数えた。

 ただ、細川も打撃が粗かった。筆者は、3年夏の茨城大会、古河三戦で細川のプレーを見ている。フルスイングには迫力があったものの、力みが目立ち、4打数ノーヒット、2三振と結果を残せなかった。結局、この大会では、7試合で2本のホームランを放ったとはいえ、ヒットはわずかに3本、打率は1割台に終わっている。相手投手に厳しくマークされた影響もあるが、バッティングの確実性がかなり低かったことは間違いない。

 前出のスカウトも、筆者と同じような印象を持っていたようだ。

「体つきとパワーは、高校生離れしていましたけど、動きやプレーに柔らかさがなかったですね。力を抜くのが、上手くなかった。縦の変化球は見えないのかと思うほど、空振りが非常に多かったです。ドラフト5位という順位は、妥当な評価だったと思います」

 細川は1年目から二軍で10本塁打を放ったが、打率は.201と低く、114試合で182三振という記録が残っている。その後も毎年期待されながら、DeNA在籍の6年間で、一軍では通算6本塁打に終わっており、現役ドラフトでの移籍がなければ、そのまま埋もれていた可能性も高いだろう。

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