「細川成也」「万波中正」「水谷瞬」はなぜ、プロ入り前の評価が低かったのか? 彼らの大活躍でドラフトの“トレンド”が変わる可能性も
歴史的な“投高打低”といわれる今年のプロ野球。投手のレベルが上がり、またデータの分析が進んだこともあり、打者には「受難の時代」だ。しかし、そんな中でも成績を上げている選手がいる。昨年ともにブレイクした細川成也(横浜→中日)と万波中正(日本ハム)、水谷瞬(ソフトバンク→日本ハム)は代表格といえるだろう。【西尾典文/野球ライター】
***
【写真で振り返る】あなたは何人わかる? プロ野球監督別リーグ優勝回数ランキングベスト10(1990年~2022年)
目下、大活躍中の万波がドラフトで上位指名されなかった理由
細川は、現役ドラフトで移籍した昨年チームトップとなる24本塁打、78打点をマークし、今年も7月29日終了時点で打率.300、13本塁打、38打点とチームの得点源として活躍している。
一方、万波は、昨年25本塁打を放つ活躍を見せて、ベストナインを獲得し、今年もホームラン王争いを演じている。水谷は、昨年12月の現役ドラフトで移籍すると、今年の交流戦で歴代最高打率.438を記録して、MVPを獲得する大ブレイクを見せた。
彼らの共通点は、ドラフト下位で指名され、高卒でプロ入りしているところだ。横浜出身の万波は2018年4位、明秀日立出身の細川は2016年5位、石見智翠館出身の水谷は2018年5位で、それぞれ指名を受けている。
なぜ、彼らは高校時代にプロから高い評価を得ていなかったのだろうか。
万波は、3人のなかで最も知名度が高かった。中学時代は関東地方で屈指の強豪チーム「東練馬リトルシニア」でプレーした。筆者は、万波が中学3年生で出場した全国大会を現場で視察したが、すでに190cm近い長身で、中学生の中に1人だけ大人が混ざっているようだった。その後、名門・横浜に進むと、入学直後からベンチ入りを果たし、その年の夏の神奈川大会で早くもホームランを放っている。
それでも上位指名に至らなかったのは、調子の波が大きかったという点が考えられる。
特に、3年春が不調だった。春の神奈川大会でプレーを見た時には、全く変化球にタイミングが合わず、ワンバウントするような遅いボールに体勢を大きく崩されて、三振を喫していた。その後、夏の神奈川大会では5割を超える打率をマークしたものの、続く夏の甲子園では3試合でシングルヒット2本、打率1割台と低迷している。
[1/3ページ]