立浪「中日」はいつまで「中田翔」頼みを続けるのか? 打線は日替わり状態で「クリーンアップに悪影響」の声も
クリーンアップが機能しない
7月26日に再開したペナントレース後半戦でいきなり阪神に3タテを食らい、中日ドラゴンズは、昨季までの定位置である「最下位」に転落してしまった。30日からの東京ヤクルト3連戦の初戦は高橋宏斗(22)の圧倒的なピッチングで勝利を収め、その後も2連勝。順位を5位に上げたが、立浪和義監督(54)の表情が冴えないのは、チーム状態のせいだろう。特に打線の低迷は相変わらずで、得点圏に走者を置いてもクリーンアップにいる打者から「あと一本」が出ないからだ。
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「巨人は丸佳浩(35)、吉川尚輝(29)、ヘルナンデス(29)、岡本和真(28)、大城卓三(31)と1番から5番までの打順が固定されてからはコンスタントに得点を挙げるようになりました。阪神も森下翔太(23)、佐藤輝明(25)、大山悠輔(29)のクリーンアップの調子が上がってきてからは打線全体が活気づき、立て続けに2ケタ安打を記録しています。対照的に中日の打線はいまだ流動的です。立浪監督は中田翔(35)の復調を待っているのか、打線も日替わり状態です」(名古屋在住記者)
阪神戦で3連敗したのは、中田を始めとする中日のクリーンアップが機能しなかったためと言っても過言ではない。
「3連戦の2戦目、中田は途中交代しています。試合後のインタビューで立浪監督は、試合がワンサイド(スコアは7対3)になってしまったから休ませたと説明していました」(前出・同)
3タテを阻止しなければならない7月28日、中田はスタメンから外れ、代打での途中出場となった。前日の途中交代の理由がワンサイドゲームだけだとすれば、ここで奮起しなければならないところだ。しかし、立浪監督は口にこそ出さないものの、打撃の調子そのものが良くないと判断したのかもしれない。
その第2戦では、こんな場面もあった。
「中田の第1打席は2回の表。完全にタイミングを外されてのショートゴロでした。1点を先取された直後だったので、中田がクリーンヒットを放っていれば試合展開も変わっていたはずです。守備では阪神・近本の一・二塁間の打球を見事に捌いたものの、ベースカバーに入ったメヒア(27)との呼吸が合わず、セーフにしてしまいました。攻守ともに本調子とは言い難い状態です」(球団関係者)
途中交代させた本当の理由はこの辺りにありそうだ。主砲が本調子でないと、その影響は打線全体に広まる。阪神3連戦での両チームのクリーンアップの成績を比べると、まさに雲泥の差だ。
阪神の森下、佐藤、大山の3人がトータルで37打数18安打、12打点を挙げたのに対し、中日はメンバーを入れ替えながらも32打数8安打。クリーンアップが挙げた得点は3試合で僅か2点である。中田に関しては、途中出場となった7月28日の3打席を含め、10打数2安打。得点圏に走者を進めても、打ち損じのボテボテの内野ゴロが転がり、諦めたようにゆっくりと一塁ベースへ向かう姿は、迷走する立浪竜そのものである。
ここぞという場面で見せる集中力
もっとも、28日の第3戦は延長戦に突入しており、同点に追いつく3点目は中田のバットから生まれている。
「3対1で迎えた9回表、1点を挙げ、一死一・三塁。マウンドにはトラの守護神・岩崎優(33)。こういう場面で打席に立つ時の中田は、バッテリーがどんな配球で攻めてくるかを読み取る抜群のセンスがあるんです。試合終盤の、それも一打同点という場面で見せる集中力は超一流で、しかも、相手投手のウィニングショットを積極的に打ちに行く。立浪監督が中田を頼りにするのも、この能力があるからこそです」(前出・同)
この場面では、岩崎の決め球であるチェンジアップを狙い打ちした。試合後、地元名古屋のメディア関係者たちがコメントを取ろうと、中田にぶら下がってきた。質問は同点打に関してだが、試合は延長サヨナラ負け。中田は少しでも明るい話題をファンに届けようとする地元メディアの立場も理解したのか、
「同点に追いつけたことは良かったです」
とだけコメントした。
「試合前の打撃練習中、立浪監督はノックバットを片手にゲージ脇で選手を見ているんですが、中田がいると、歩み寄って色々と話をする場面が多く見かけられます」(前出・名古屋在住記者)
中日もそうだが、フリー打撃の練習はスタメン出場する選手が先にゲージに入るため、控え選手は最後のほうになる。その順番表が練習前に貼り出され、メディアもそれを見て大方のスターティングメンバーを把握するのだが、中田はベンチスタートになる日も10番以内に打つことが多い。「全ての調整を任せている」の意味だろう。
「スタメン出場する選手は自分が納得するまで打撃投手のボールを打ちます。控え選手がゲージで打つ時間は自ずと短くなるんですが、大抵の選手は『良い当たり』が出ると、そこで切り上げて次の選手にゲージを譲ります。一方の中田はスタンドに放り込もうとし、さらに連発させようとするので、他の選手よりも長く打っています」(前出・同)
スタンドインにこだわる打撃練習を見て、「いつものルーティン」という声もあれば、「焦っている」と懸念する向きもある。立浪監督が中田とよく話をするのは、打撃のアドバイスというより、状態を確かめる意味があるのだろう。
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