「天皇陛下の熟慮の言葉に感動した!」 東京五輪開会式「たった39字」の開会宣言に込められた配慮

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推敲に推敲

 まさに“伝統の力”というわけだろう。そして今回の場合は、コロナ禍もあった。天皇陛下は宣言について、まさに熟慮に熟慮を重ねてきた。

「東京五輪が決まったのは2013年。上皇さまの退位前でしたが、この瞬間から天皇家は準備をお始めになったと思います。コロナ禍が起きてからは特に、いつにも増して天皇陛下はありとあらゆる情報をお集めになりました。そして宣言の文面をどうすべきか、どういうトーンで読み上げるべきか、表情や口調に至るまで、練りに練り上げられたのではないかと思っています」(同・神田氏)

 推敲に推敲を重ねれば、表現は研ぎすまされてくる。冗長な部分がなくなり、人の心に飛び込んでくるようになる。

「橋本会長やバッハ会長のスピーチに、推敲の要素を感じることは難しかったですね。『あの3分の1の長さでいい』と思った視聴者も多かったのではないでしょうか。天皇陛下が読まれた宣言は、その大多数が決まっているものでした。しかし、陛下が時間をかけて、熟慮に熟慮を重ねたからこそ、多くの人が感動したのだと思います」(同・神田氏)

デイリー新潮編集部

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