1万3000人の女性と関係? 88歳「アラン・ドロン」の最後の交際相手は日本人、凄すぎた女性遍歴を映画評論家はどう見ていたか

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女性関係で窮地に

 ヴィスコンティの求めにアラン・ドロンは同意。ヴィスコンティ家はミラノ公国を掌握した都市貴族として知られている。交際がスタートすると、ヴィスコンティはアラン・ドロンに“城”をプレゼントしたというエピソードも残っている。

 映画評論家の北川れい子さんは「アラン・ドロンはスキャンダルな人生を歩んできた人です。しかし、どこか憎めないところがあり、映画関係者もファンも彼を許してきたと思います」と言う。

「もちろんドロンの魅力は傑出していました。さらに昔はインターネットもなかったので、情報そのものが非常に限られていました。ファンにとってはスクリーンに映る彼が全てという状況でしたから、スターは文字通りの雲上人だったのです。女性遍歴の報道が海外ニュースとして報じられることもありましたが、やはり日本ではそれほど話題にならず、イメージが悪化するようなことはなかったのです」

 実はアラン・ドロンが窮地に立たされたことがあったのだが、それも女性関係が影響していた。1968年10月、彼の元ボディーガードだった男性が射殺死体として発見される。捜査の進展と共に、アラン・ドロンとマフィアとの関係や、有力政治家と女性を巡る不適切な交際など、数々の疑惑が浮上した。

成功したイメチェン

「これらの疑惑は当時の日本でも、ニュースとして報じられました。ところがドロンは、このピンチを利用します。チンピラや犯罪者の役に挑み、スキャンダルを逆手にとって観客にリアリティを感じさせたのです。もともとドロンは光だけではなく暗い影も感じさせる役者だったことも幸いしたと思います。アウトローの役も演じるというドロンのイメージチェンジは観客から支持されただけでなく、監督やプロデューサーからも高く評価されました。そのため出演オファーが殺到する事態になり、誰もがスキャンダルのことを忘れてしまったのです」(同・北川さん)

 殺人事件を発端とし、裏社会とのつながりなど“闇”を感じさせる深刻なスキャンダルが報じられても、観客や業界関係者はアラン・ドロンを許した。それは女性遍歴でも同じだったという。

「もちろん全ての交際が明らかになったわけではありませんが、女性側が不同意だったにもかかわらず、アラン・ドロンが強引に関係を求めた、という深刻な性加害に該当するようなケースは報道されていません。さらに二枚目と言っても、普通の二枚目とは格が違います。女性だけでなく男性にも人気のスターでしたから、どうしても世論は甘くなってしまったと思います。むしろ、彼の持つ“やんちゃ”な部分を、誰もが愛しました。ただ、彼の晩年は“昔の名前で出ています”という仕事ばかりだったと思います。かつての二枚目俳優が年齢を重ねて円熟味を増し、名演技で最高傑作を残す、ということはドロンには起きませんでした。不思議なほど成熟とは無縁の俳優人生だったと思います」(同・北川さん)

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