「旧ビッグモーター」関係者が明かす「調査委員会は“素人”ばかり……」 保険金不正請求「全件調査打ち切り」驚きの理由

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「事故調査プロ」の不在

「そもそも旧BMが設置した外部調査委員会のメンバーが弁護士らで構成されていた点に社内では早くから疑問の声が上がっていた。保険事故調査の専門家である〈損保アジャスター〉でもない彼らが、見積書や請求書、事故車両の画像を見て“事故か、不正か?”なんて分かるわけがない――と秘かに囁かれていたのです。損保各社はアジャスターを含めたプロフェッショナルが調査しているのに対し、BMの主体は言ってみれば、“事故調査の実務経験などない素人だ”と揶揄する声もあった。調査の進捗に大きな差が出るのは当然です」(旧BM関係者)

 さらに「打ち切り」の背景として“証言者不在”の影響を挙げる。

「私自身も当時、たとえば事故車両に仕立てた車の修理部品に関し、保険会社には“新品”を請求した裏で、業者には中古品を発注し、差額を“利益”としていたケースを目にしました。こういったケースは画像だけで不正の有無を判断するのは困難を極め、部品伝票まで一つひとつ確認しないと見抜けない構図になっている。それでも不正を目にしたり、実際に手を染めた人間は存在しており、彼らへのヒアリングを実施していれば結果は違ったかもしれません」(同)

 ただ仮にヒアリング調査を行うにしても、新たな問題が立ちはだかるという。

「死人に口なし」

「一連の不祥事を受け、旧BMの整備工場の多くが国交省から『指定取り消し』などの行政処分を課され、離職者が相次いだことで、板金部門は実質“解体”されてしまった。実態を知り得る立場にあった従業員の多くがすでに社を去るなどしており、社内では『死人に口なし』なんて軽口も叩かれている。被害の特定ができなければ不正の全容解明も叶わず、結局、真相は“闇に葬られる”ことになるのではないでしょうか」(同)

 バームに外部調査委員会が行った調査の具体的な内容や、これから被害者救済をどう図るつもりなのかなどについて訊ねたが、

「保険会社と協議中につき、ご質問への回答を控えさせていただいております」

 との答えにとどまった。現在、全国に約250ある旧ビッグモーター店舗の看板は順次、中古車事業を継承した新会社「WECARS」へと掛け替えられているが、犯した不正までは覆い隠せない。

デイリー新潮編集部

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