フェンシング金「加納虹輝」は「合宿所では『スマブラ』に夢中でした」 “東京五輪金メダリスト”が明かす「ポーカーフェイスで研究熱心」な新王者の素顔

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「スマブラが上手な人のプレーを一生懸命に真似してました」

 宇山さんが「どんな状況でもブレずに目標を追求できる人」と話す加納選手は、練習以外の時間でもストイックな姿を見せることがあったという。

「僕らが東京五輪に向けてトレーニングを積んでいた2019年頃に『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(2018年12月発売・任天堂)が流行していて、オフの時間はみんなで一緒にプレーしていたんです。実は、加納選手はメンバーの中で一番研究熱心で、YouTubeにアップされている上手い人のプレー動画を見て、それを必死に真似しながら練習しているんです。しかも、Nintendo Switchのコントローラーに飽き足らず、上手な人が『プレーにより適している』ということで使っていた、ゲームキューブのコントローラーまで買ってきまして。“壊れてしまうのでは……?”と思うくらいにガチャガチャ弄っていた姿が印象に残っています」

 加納選手の勝負に対する執念は、ピスト内だけにとどまらないようだ。

“連覇”を目指すエペ団体にも追い風に

「どんな勝負に対しても真剣で研究熱心だ」という加納選手は、金メダルを獲得した個人戦に続き、2日には男子エペ団体で再び登場する。本番には、東京五輪に出場した加納選手、山田優選手、見延和靖選手の3名に、今回初出場の古俣聖選手を加えた4名で臨む。3年前は『エペジーーン』の一員として共に戦った宇山賢さんは「個人戦でのメダル獲得は、団体戦で対戦する他国のライバル選手にとっても大きな重圧になると思う。周囲からの視線もこれまで以上に注がれることになると思いますが、それをうまく利用しながら、自分の強みを活かして戦ってほしい」と連覇に期待を寄せる。

「団体戦では加納選手か山田選手のどちらかがエースを務め、キャプテンの見延選手がチームをまとめていくような戦いになると思いますが、個人戦からしっかりと気持ちを切り替えて頑張ってほしい」

 3年前の金メダリストは、かつてのチームメイトにエールを送った。

白鳥純一(しらとり・じゅんいち)
1983年東京都生まれ。スポーツとエンタメのジャンルを中心にインタビューやコラム記事の執筆を続けている。

デイリー新潮編集部

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