放映権料は440億円!パリ五輪でテレビ局が冷や汗をかく裏事情 ロンドン大会から連続赤字、隅田川花火大会と視聴率互角の時間も

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「実は五輪関連の収支は赤字だ」

 それでも各局が五輪の放映権を競って獲得し、盛り上げようとしているのは営業的な利益が大きいのだろうと考えるかもしれない。事実、トヨタ自動車、パナソニックなどグローバルな日本の大企業も公式スポンサーとなっている。しかしある局の営業関係者は「実は五輪関連の収支は2012年のロンドン大会以降は赤字だ」と話す。

 この関係者によると、放映権料自体が高騰している上に、大会の大口オフィシャルスポンサーだけで全番組のCM枠の提供が埋まるわけではないという。五輪番組を一手に引き受けてセールスを行う広告代理店「電通」も、実は完全に全局の枠を売ることは難しい状況だという。

 さらにこの時期には五輪特別編成により、各局のセールスで販売できる「スポットCM」と言われる、番組と番組の間に流れるCMの時間も通常よりも削られており、売り上げを作りにくくなるという。

 放送局に追い打ちをかけるパリ五輪の苦悩には「円安と物価高」も影を落とす。放送局からはスポーツ部門、ニュース部門や情報番組部門はもちろん、五輪に関連したネタを取り上げる教養番組や旅番組などバラエティ部門が現地ロケに入ることも少なくない。こうした状況の中でユーロに対して歴史的な円安が続くことは、ホテル代や現地滞在費、そして航空券代も高止まりしており、ロケ費用は当初の想定よりもかなり膨らんでいるという。また現地で雇用する通訳や技術スタッフなどの人件費もインフレの中で高騰している。早くもパリ五輪も赤字となることは各局とも避けられない状況のようだ。熱い五輪中継の裏でテレビ局関係者は内心肝を冷やしながら放送をしているのかもしれない。

多角一丸(たかく・いちまる)
元テレビ局プロデューサー、ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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