放映権料は440億円!パリ五輪でテレビ局が冷や汗をかく裏事情 ロンドン大会から連続赤字、隅田川花火大会と視聴率互角の時間も

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 連日テレビではパリ五輪の特番が放送されている。「〇〇選手、金メダルでーーーす。悲願の金メダル獲得しました!!!」といった絶叫、いや実況が響き渡る。4年に一度の五輪という名のお祭り騒ぎを巡っては表の熱戦だけではなくテレビ局の裏側の戦いも熱いようだ。

くじ引きから始まる熱戦

 民放において視聴率は正義であり、売り上げに直結する生命線である。このため五輪イヤーの度に人気競技を獲得するべく各局の担当者は必死である。しかし視聴者には、どのように競技の割り振りが決められているのか分かりにくいだろう。

 これは五輪競技の放送が、NHKと日本民間放送連盟(民放連)が合同で作る「ジャパンコンソーシアム」という組織で国際オリンピック委員会(IOC)から放映権を購入している事に端を発する。放映権は夏と冬のセットで売られる。今回のペアで言えば、2022年北京冬季五輪と2024年パリ夏季五輪の組み合わせで販売され、放映権料の総額は実に440億円にのぼる。これを先ほどの組織で購入し、NHKが7割程、民放が3割程を引き受けると言われている。

 この「3割程」を民放各局で分担するのだが、それでも高額な負担だけに、競技をどう割り当てるのかは各局とも譲れず、熾烈な取り合いとなってしまう。このためNHKと線引きをしたのちに、民放の各局担当者で厳正なくじ引きを行うという方法で決められてきた。

くじを引く民放の「企業戦士」たちは…

 各局からスポーツか編成の責任者がくじ引きに参加する事が多いが、社の運命を背負う重大な役割を特定の1人が担うこととなる。このためある局のスポーツ部門幹部は、くじ運が強いことから「ゴッドハンド」と呼ばれ、長らくその地位を不動にしたと語り継がれている。別の局の編成幹部はくじ引き担当となることが決まってから毎朝神社に参拝を続けたという。さらに別の局のスポーツ部門幹部は、大好きなゴルフ断ちを続けてから臨んだという。民放の熱戦は実は競技を選ぶためのくじ引きから始まっているのだ。

 では世界中でこのような熱戦が繰り広げられているのかといえば、さにあらず。アメリカでは五輪の放映権は3大ネットワークのひとつNBCが単独で持っている。この方式の場合、ライバル局は配信による最小限の画像でしか放送が出来ない。当然ながら高視聴率となれば独占的に放送できるメリットは大きい。よって入札価格は高くなるわけで、日本の民放とは桁違いなアメリカの巨大メディア資本だからこそできる方式だ。

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