【パリ五輪】柔道史上初の親子「金」に挑む「斉藤立」 VS 聖火最終ランナー「テディ・リネール」 元メダリストが語る“勝負の鍵”とは
8月2日に行われる、柔道の男子100キロ超級。ソウル五輪金メダリスト・斉藤仁の息子、立(22)が柔道史上初の親子での「金」獲得に挑むが、そこに立ちはだかるのがロンドン、リオの金メダリストにして、開会式では最終聖火走者も務めたフランスの英雄、テディ・リネール(35)である。
スポーツライターの小林信也氏は開催直前、「勝負の鍵」を元銀メダリストに取材している。注目の対決の帰趨はいかに――。
(2024年7月14日配信の記事を再掲載しました)
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柔道界で「絶対王者」と呼ばれるテディ・リネール(フランス)の取材準備を進めていると、
「日本で合宿中だからインタビューに応じてもいい」
と連絡が来た。願ってもない幸運。ところが当日の朝になって、思いがけないメールが届いた。
「急にフランスに帰ることになりました。今日の飛行機でたつので、すみません」
突然の帰国。後日その理由が分かった。仲介してくれた元フランス女子代表チームコーチの溝口紀子が教えてくれた。
「日本で合宿をしたらめちゃくちゃ調子が良くなって、急きょヨーロッパの大会に出ることにしたようです。
斉藤立のいる国士舘大や東海大の道場で練習し、立とも手合わせをしたそうです。自分の情報も相手に伝わるけれど、相手を知ることができる。2番手、3番手の日本選手にとってもテディとの稽古はいい経験になったはずです」
リネールは五輪前になぜ急いで大会に出たのか?
「いまの制度だと、パリ五輪の組み合わせを有利にするため世界ランキングがすごく影響します。テディも、少しでもポイントを取って順位を上げておきたい。それでポイント対象の大会に出たのです」
同様の選択を斉藤もしたと新聞が伝えたのは6月だ。
〈全日本柔道連盟(全柔連)は11日、パリ五輪(オリンピック)男子100キロ超級の代表に内定している斉藤立(22=JESグループ)をパンアメリカン・オープン(リマ)に派遣すると発表した。(中略)本番で金メダルを獲得するため、さらにポイントを積み重ねて五輪ランキング、当日のシード順を上げるための戦略的措置という。〉(日刊スポーツ)
リネールは、その前週にマドリードオープン(スペイン)で優勝。五輪ランクを7位から6位に上げた。シード権は8位まで。7位に落ちた斉藤も挽回の必要が生じた。序盤で強豪と当たるのは避けたいからだ。
地元パリで個人3個目の金メダル獲得を狙う35歳のリネールと、亡き父・仁を追い、日本柔道史上初の親子金メダルを目指す22歳の斉藤との対決は楽しみだ。
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