米大統領候補「カマラ・ハリス氏」のお財布事情 公文書で分かった「資産残高」と意外な“投資スタイル”とは

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ハリス氏は6年後の65歳には引退予定だった?

 ハリスさんの昨年の取引は6月末にご自身の退職口座で行った4件のファンドの売買のみです。ただ、その取引内容は興味深いものでした。彼女が売買したのは「ターゲット・デート・ファンド(TDF)」です。

 ターゲットファンドとは、株式と債券を組み合わせて運用するバランス型の投資信託の一種で、最初は積極的運用から始めてターゲット・イヤー(運用の最終目標時)に向けて徐々にリスク資産の比率を引き下げていきます。最後にターゲット・イヤーに達すると安定運用となるような資産配分変更を自動的に行ってくれる投資信託で、ターゲット・イヤーは自身の退職する年に設定するのが一般的です。

 ハリスさんは、これまで2035年と2025年のTDFを保有してきました。その二つのTDFを売却し、その資金をもとに、今度は運用の最終目標の年が2030年になるTDFを購入しているのです。

 ハリスさんは現在59歳ですから、6年後の2030年に彼女は65歳となっています。あくまでターゲット・イヤーからの推察ですが、ハリスさんは65歳になったら第一線から退き、お二人でゆっくりとした老後生活をしたいと思い描いているのかな、と想像しました。

 もちろん、もしも大統領になれば、そんなゆっくりはしていられない人生となってしまうかも知れませんね。

寄付先や受け取った贈り物まで記録されている

 参考までに、彼女が昨年投資をした2030年TDFの上位5つの投資先を見ると、1位はS&P500連動のインデックスファンドで34.55%、次いで中期債券のファンドに17.91%、債券ETFに11.97%、FTSE先進国ETFに8.51%、海外株ファンドに6.97%にとなっています。

 ご夫妻のポートフォリオについて総じて言えることは、ハリスさんが選挙戦でトランプ大統領に対し攻撃的な発言をされているのと比べ、ご自分の投資スタイルは、あまりリスクは取らない非常に保守的なポートフォリオをお持ちであるということです。

 また、この報告書を読むと、昨年はハリスさんが過去に出版した2冊の本の印税収入を8488ドル(約130万円)得たことも分かります。

 また、彼らはアメリカ人らしく寄付も行っています。昨年は総額2万3026ドル(約350万円)を寄付しており、寄付先の多くは自身の母校であるワシントンDCのハワード大学と、カリフォルニアの二つの大学、そして非利益団体や宗教団体となっています。

 ハリスさんを民主党の大統領候補として、いち早く支持すると明かした人物に歌手のビヨンセさんがいますが、実はハリスさんはビヨンセファンとして知られています。

 昨年、夫妻への贈り物として記録されている項目に、ビヨンセのコンサートチケット代が1655.92ドル(約25万円)と記されています。もしかすると、このチケットはビヨンセさん本人からのプレゼントだったのかもしれません。

岡元兵八郎
マネックス証券の専門役員。専門である外国株のチーフ・外国株コンサルタントのほか、マネックス・ユニバーシティ投資教育機関のシニアフェローも務める。元Citigroup/米ソロモンブラザーズ証券のマネージング・ディレクター。外国株に30年以上携わるプロフェッショナルで、関わった海外の株式市場は世界54カ国を数える。海外訪問国は80カ国を超える。米国株はもちろんのこと、新興国の株式事情にも精通している。ニックネームは「ハッチ」。Xアカウント名 @heihachiro888

デイリー新潮編集部

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