米大統領候補「カマラ・ハリス氏」のお財布事情 公文書で分かった「資産残高」と意外な“投資スタイル”とは
金利だけで年間約480~1600万円の収入が
ハリスさんの持つ金融資産は、米国公務員倫理室が公開している、2023年5月13日付けのハリスさんの「行政府個人公開財務開示報告書」を調べることで、より詳しく知ることができました。
ただ、公開されている数字は正確な金額ではなく、レンジ(幅)での公開となっている点に注意が必要です。この報告書によると、ハリス夫妻は合計で360万~736万ドル(約5.5~11.3億円)の金融資産を保有しています。そのうち179万~440万ドル(約2.8~6.8億円)、つまり半分くらいは「個人退職口座」で保有されています。
このほかハリスさんとご主人お二人の銀行預金口座は全部で4つあり、合計で85万~170万ドル(約1.3億~2.6億円)の残高があります。そのうちの一つは共同口座(米国では共同名義で口座が開ける)となっており、残高は5万~10万ドル(約770~1540万円)となっています。
ちなみに、日本と違い金利の高いアメリカにおいては、昨年1年間のご夫妻の金利収入は3万1200~10万3500ドル(約480~1600万円)にのぼります。
投資ポートフォリオの総額は少なくとも4.2億円以上
次に、ハリスさんがどのような投資を行っているか、ご夫妻の投資ポートフォリオを見てみましょう。
投資ポートフォリオの金額は全体で275万~566万ドル(約4.2億~8.7億円)です。そのうち127万~319万ドル(約2億~4.9億円)がご主人のもので、52万5000~125万ドル(約8000万~1.9億円)がハリスさんの持ち分となっています。
では、そのポートフォリオの中身はどうなっているかというと、その全てが投資信託とETFという、非常に保守的な運用となっていました。ご主人はこれまで個別銘柄にも投資をしていたようですが、ハリスさんが政治の道を進むにあたって、利害関係を生むかもしれない個別銘柄は売却してしまったのです。
現在お二人は30以上の投資信託やETFに投資をしています。資産は債券と株式に分散されており、私が確認できる限りその全てがパッシブ、つまりインデックスファンドとなっています。
お二人が保有している株式ポートフォリオをみると、米国株では大中小型株、グロース株やバリュー株、加えて外国株に新興国株と非常に分散されており、複数の運用会社の投資信託とETFで運用されていることが分かります。
夫のエムホフ氏は昨年、ラッセル2000連動のETFを買い増し
債券ファンドについても、米国短中長期債、投資適格債券、高利回債、ドル建て、現地通貨建て新興国債券などと非常によく分散されています。ただ、正直な感想としては、ポートフォリオが分散されているのは良いのですが、似たようなファンドが数多く見られるので、一度整理をした方が良いような気もします。
また、この報告書にはファンドの売買の記録も掲載されています。
昨年、夫妻は103のファンドの売買取引を行っていますが、そのうち99件とほとんどがご主人のエムホフさんによるものでした。その履歴からは彼の投資家としての相場感が窺えます。
例えば、昨年は小型株のパフォーマンスが芳しくないなか、小型株指数であるラッセル2000に連動するETFを買い増していました。今年7月に入ってから利下げへの期待感で米国の小型株が急上昇したので、エムホフさんはご自分のポートフォリオを眺めて喜んでいるのではないかと想像します。
もちろん、自分の奥さんが大統領選挙に出馬することになったのでそれどころではないかもしれませんが。
[2/3ページ]