【追悼】「シャイニング」でジャック・ニコルソンに追われる妻を演じたシェリー・デュバルさん “大絶叫”だけじゃない女優としての姿

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 1980年公開のスタンリー・キューブリック監督による「シャイニング」は、ホラー映画の金字塔と呼ばれる。アメリカの女優シェリー・デュバルさんの名は知らずとも、おので襲われ、あまりの恐怖に目と口を大きく開き硬直する姿に誰しも見覚えがあるだろう。

 物語の舞台は冬期に閉鎖されるホテル。管理人を引き受けたジャック・ニコルソン扮する作家志望の男は、デュバルさん演じる妻と息子を連れて赴く。だが、ホテルにすみ着く悪霊に取りつかれ、やがて狂気に陥って妻子の命を狙い始める。

 映画評論家の垣井道弘さんは振り返る。

「デュバルさんが隠れる部屋の扉をおのでたたき割り、隙間からのぞき込むニコルソン。その顔は、慄(おのの)くデュバルさんの姿と組み合わせて宣伝ポスターに使われた。ニコルソンの演技は過剰といわれましたが、その狂気を前に叫ぶデュバルさんも強烈で恐怖が増幅された」

 映画評論家の白井佳夫さんも言う。

「デュバルさんは黙っていても目を引く。構図と映像のインパクトに凝るキューブリック監督が使いたがったのも納得できます」

女優になる気はなかった

 49年、テキサス州生まれ。裕福な家庭に育ち短大では栄養学を学ぶ。女優になる気はなかったが、パーティーで出会ったロバート・アルトマン監督に強く請われて「バード・シット」(70年)でデビューする。

「主人公は自分の力で空を飛びたいと装置を作る少年。彼を取り巻く女性の一人で謎めいていて彼を惑わせる役でした。デュバルさんにはどことなく妖しさと色気がある。捉えどころのない雰囲気の一方、意志の強さや愛嬌も感じる。一度見れば忘れられない魅力の持ち主でした」(垣井さん)

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